米国、仏エネルギー大手に巨額返還 洋上風力中止でLNG事業へ資金転換
米国内務省は3月23日、フランスのエネルギー大手トタルエナジーズが米国東部ニューヨーク州と南部ノースカロライナ州の沖合で計画していた洋上風力発電事業を中止する見返りとして、同社が支払ったリース費用約10億ドル(約1580億円)を返還すると正式に発表しました。この決定は、米国のエネルギー政策における大きな転換点を示すものとして注目を集めています。
事業中止と返還金の具体的な内容
トタルエナジーズは、米国での新たな洋上風力発電事業に今後着手しないことを誓約した上で、返還金を受け取ることになります。同社はこの巨額の資金を、南部テキサス州での液化天然ガス(LNG)プラントの建設など、米国内の化石燃料事業に振り向ける計画です。これにより、再生可能エネルギーから化石燃料への投資シフトが明確になりました。
トランプ政権のエネルギー政策と背景
トランプ大統領は従来から、洋上風力発電を「高価で信頼性が低い」と批判し、軽視する姿勢を取ってきました。代わりに、温室効果ガスを大量に放出する化石燃料を安定した電源として重視する政策を推進しています。この返還措置は、そのような政策方針に沿った具体的な行動の一環と見られています。
米国内での洋上風力事業をめぐる動向
米内務省は昨年12月、東海岸沿いで建設中だった大規模な洋上風力発電事業5件を一時停止すると発表しました。これに対して、電力会社側は停止の無効を求めて裁判所に仮処分を申請し、裁判所は5件全てで建設再開を認める仮処分を出しています。今回のトタルエナジーズの事業中止は、こうした混乱する状況の中で行われた決断です。
この返還は、単なる資金の移動ではなく、米国のエネルギー戦略が再生可能エネルギーから化石燃料へと傾斜していることを象徴する事例となっています。国際的な気候変動対策の流れとは逆行する動きとして、今後の影響が懸念されます。



