スペースワン「カイロス」3号機打ち上げ失敗、3連続の挫折に挑戦続ける宇宙新興企業
カイロス3号機打ち上げ失敗、3連続の挫折に挑戦続ける (12.03.2026)

宇宙新興企業スペースワンの挑戦、3連続の打ち上げ失敗に直面

和歌山県串本町のスペースポート紀伊発射場から2026年3月5日に打ち上げられた宇宙新興企業スペースワンの小型ロケット「カイロス」3号機(全長18メートル)が、打ち上げから68.8秒後に上空で自動的に爆発した。これで同社のロケット打ち上げは3回連続の失敗となった。安全システムが異常を検知し「飛行中断措置」が取られたもので、システムの誤作動の可能性も含め原因究明が進められている。

豊田社長の前向きな姿勢と開発の現実

記者会見で豊田正和社長は「確実にノウハウ、経験を蓄積でき、前進できた」と強調し、「失敗は私どもの文化として存在しない」と力強く語った。しかし、飛行距離や動作は前回の2号機(2024年12月打ち上げ)よりも後退しており、開発の難しさを物語っている。2号機は第1段エンジンを分離し、人工衛星保護カバーを開き、3分7秒間飛行したが、今回の3号機はより早い段階で中断された。

宇宙産業における失敗の位置づけ

開発段階のロケットは失敗が多いのが現実だ。昨年世界最多の165機のロケットを打ち上げた米国のスペースXでさえ、創業初期には3回連続で打ち上げに失敗している。実業家の堀江貴文氏が創業したインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)も、観測ロケット「MOMO」の7回の打ち上げ中4回が失敗しており、同社は「ロケットの開発に向けて大きな前進」と前向きなコメントを発表している。

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一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は日本の主力ロケット「H3」8号機の打ち上げ失敗後、すぐに失敗を認めた姿勢を見せた。金沢工業大学の森合秀樹教授(宇宙推進工学)は「失敗をある程度繰り返すことは必要だが、企業としては信用にかかわるため、『失敗』という表現は避けたいのではないか」と指摘する。

衛星搭載の理由と宇宙活動法の課題

スペースワンは初号機から3号機まですべてのロケットに人工衛星を搭載している。豊田社長は「お客様には一緒に挑戦しようということで理解いただいている。一緒にリスクを取ってくれる方々と協力したい」とその理由を説明した。

内閣府によると、衛星の軌道投入などを対象に定められた宇宙活動法では、衛星を搭載する際には国の許可が義務づけられており、事故時には民間の保険でカバーできない賠償額を政府が補償する制度も受けられる。しかし、同法では衛星を搭載せずに機体を打ち上げることが想定されておらず、補償制度の対象外となるため、1機10億円以上とされる小型ロケットの打ち上げで生じた損害も全て自己負担となる。

政府は現在、同法を見直し、衛星を搭載しない打ち上げも補償対象とする改正案の策定を進めている。大同大学名誉学長の沢岡昭氏(宇宙利用戦略論)は「法改正されれば民間はより多様な打ち上げが可能になるだろう」と期待を寄せる。

今後の展望と課題

スペースワンは、防衛省の観測実証衛星を搭載し打ち上げる計画を2025年5月に公表しているが、今回の失敗の原因を明らかにし、対策を検討する時間が必要だ。関野展弘副社長は会見で4号機以降の打ち上げについて「次がいつとは申し上げられない」と述べるにとどめた。

宇宙新興企業としての挑戦は続くが、技術的課題の克服とともに、法制度の整備も重要な要素となっている。日本の宇宙産業の発展に向けて、官民双方の取り組みが注目される。

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