小山抄子氏「おぜしかプロジェクト」で鹿革事業本格化 命を無駄にしない循環型社会へ
小山抄子氏「おぜしかプロジェクト」鹿革事業本格化

「いただいた命を大切に」―小山抄子氏の原点

「おぜしかプロジェクト」の代表を務める小山抄子氏は、動物写真家として長年活動してきた。その原点は「野性児」と呼ばれた幼少期の記憶にある。自然の中で遊び、動物たちと触れ合った日々が、命の尊さを教えてくれたという。現在、小山氏は美しい自然を撮り続ける一方で、駆除されたシカの命を無駄にしない取り組みを本格化させている。

尾瀬での充実した半年間

小山氏はかつて、尾瀬でアルバイトとして半年間過ごした経験を持つ。その期間、豊かな自然に囲まれ、動物たちの生態を間近で観察する機会を得た。この経験が、後に動物写真家としての道を歩むきっかけとなった。「尾瀬での生活は、私にとってかけがえのない時間でした。動物たちの一瞬一瞬が、今でも鮮明に思い出されます」と小山氏は振り返る。

駆除シカの有効活用へ

日本各地で増えすぎたシカによる農林業被害が深刻化する中、駆除されたシカの多くは廃棄されている。小山氏は「もったいない」という思いから、シカの命を革製品に活用する事業を立ち上げた。鹿革は軽くて丈夫で、環境負荷も低い素材として注目されている。同プロジェクトでは、駆除シカから丁寧に皮をはぎ、なめし加工を施して製品化している。

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鹿革製品事業が本格化

「おぜしかプロジェクト」の鹿革製品事業は、2026年から本格的にスタートした。現在、財布やバッグ、ベルトなどの小物類を中心に展開しており、地元のクラフトマンと協力して高品質な製品を提供している。小山氏は「シカの命を無駄にしないだけでなく、地域経済の活性化にもつなげたい」と語る。

シカの解体から製品化までの地道な工程

鹿革製品の製造には、シカの解体から始まる多くの工程がある。まず、駆除されたシカを適切に処理し、皮を傷つけずにはぐ技術が必要だ。その後、塩漬けやなめし、染色、仕上げと、熟練の職人技が求められる。小山氏は「一頭のシカから取れる革は限られています。その一つ一つを大切に扱い、製品に命を吹き込んでいます」と説明する。

先進地の歩みから学ぶ

プロジェクトを進めるにあたり、小山氏は鹿革活用の先進地である北海道やヨーロッパの事例を研究した。北海道エゾシカ協会や、イタリアの革製品産地などから技術やノウハウを学び、福島県の地域特性に合わせた方法を模索している。「先進地の取り組みから多くのヒントを得ました。しかし、福島の自然や文化に合った独自のスタイルを確立することが重要です」と小山氏は強調する。

フェスで想像以上の成果

2025年に開催された「おぜしかフェス」では、鹿革製品の展示販売やワークショップが行われ、多くの来場者が訪れた。小山氏は「想像以上の反響で、鹿革の可能性を実感しました。参加者から『命を大切にする取り組みに共感した』という声を多くいただき、手応えを感じています」と語る。このフェスをきっかけに、新たな協力者や販路も広がった。

一人一人ができること

小山氏は、持続可能な社会を実現するためには、一人一人の意識と行動が重要だと訴える。「私たちが日々選ぶものや生活スタイルが、動物や環境に影響を与えています。鹿革製品を選ぶことは、シカの命を無駄にしないことにつながります。小さな選択の積み重ねが、大きな変化を生むのです」と小山氏は語る。

「おぜしかプロジェクト」は今後、鹿革製品のラインナップを拡充し、オンライン販売やイベント出展を通じて、より多くの人に命の循環を伝えていく予定だ。小山抄子氏の挑戦は、動物と人間が共生する未来への一歩となっている。

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