光合成しない植物の専門家・末次教授、原点の花ギンリョウソウを科学絵本に
光合成しない植物の専門家が科学絵本を執筆

光合成をしない植物の研究で知られる神戸大学の末次健司教授(38)が、科学絵本『森に咲く銀色の花 ギンリョウソウ』を執筆しました。この絵本は、自身が幼少期に植物への興味を抱くきっかけとなった〈原点〉の花を題材にしており、不思議な生態や分類方法、新種として認められるまでの過程を子どもたちにも理解しやすい形でまとめています。

菌従属栄養植物の第一人者

末次教授は奈良市出身で、光合成を行わずに土壌中の菌類から栄養を取得する「菌従属栄養植物」や、それらと動物や菌類との関係を研究しています。これまでに「キリシマギンリョウソウ」など多数の新種を発見してきました。2024年には鹿児島県の山中で見つかった「タヌキノショクダイ科」の植物を分析し、国内の植物としては94年ぶりに発見と同時に属が新設される「新属新種」として認められるなど、植物学の最前線で活躍しています。

絵本の内容と特徴

この絵本は、小学3年生以上を対象とした福音館書店の月刊絵本「たくさんのふしぎ」6月号として発行されました。末次教授自身が3、4歳の頃に近くの森で初めてギンリョウソウを見つけた時の感動から始まり、美しい花の特徴や分類、キリシマギンリョウソウが約20年かけて新種として認められるまでの調査や研究の緻密さを詳しく解説しています。教授や共同研究者が撮影した写真や、イラストレーター安斉俊さんの絵を豊富に使用し、約2年かけて完成しました。

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2冊目の「たくさんのふしぎ」

末次教授が「たくさんのふしぎ」を執筆するのは今回で2回目です。1冊目は2023年9月号で、「『植物』をやめた植物たち」と題し、菌従属栄養植物の研究成果を網羅的に紹介しました。子どもたちだけでなく植物愛好家からも「研究の流れがわかりやすく、大人でも楽しめる」と好評で、それが2冊目の執筆につながりました。今回も「新種記載までのルールがよくわかる」と好評を得ています。

研究者としての思い

末次教授自身も子どもの頃に「たくさんのふしぎ」を毎月楽しみに読んでいた一人で、「図鑑や絵本に育てられたという気持ちが大きい」と語ります。「研究はハードルが高いものではないと知り、身近な植物に関心を持ってもらえたらうれしい。興味のあるものを突き詰めて研究する面白さも感じてもらえたら」と話しています。

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