日村はしばらくの間、その場に立ち尽くしていた。他の組員たちも同様に、どう行動すべきか判断できず、ただ出入り口を見つめるばかりであった。
衝撃の連行
「誰か、事情を知っている者はいないのか?」と日村が問いかけると、まるで映像の一時停止が解除されたかのように、若い衆たちが動き始めた。彼らは互いに顔を見合わせ、困惑した様子を見せていた。
やがて稔が口を開いた。「私たちは何も知りません」
「健一は数日間、事務所に顔を出さなかった。その間、彼が何をしていたのか、誰か知らないのか?」と日村が追及する。
「知りません」と稔は答えた。
日村は舌打ちを一つしてから、命令を下した。「これは一体どういうことなのか、すぐに調べろ」
そして彼は代表室へと向かった。何よりもまず、すぐに報告しなければならない。ドアをノックすると、いつものように「入んな」という声が聞こえてきた。
阿岐本の反応
「失礼します」と日村が入室すると、阿岐本は無言で彼を見つめていた。ただならぬ雰囲気を察知しているのだろう。
日村は報告した。「仙川係長と甘糟さんが来て、健一を連れて行きました」
阿岐本の表情は変わらなかった。その沈黙には、何か深い意味が込められているかのようだった。



