「本なら売るほど」作者、大賞に「ただ描くしかない」手塚治虫文化賞贈呈式
「本なら売るほど」作者、大賞に「ただ描くしかない」

第30回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式が6月11日、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで行われた。マンガ大賞には「本なら売るほど」(KADOKAWA)の児島青さんが選ばれ、鉄腕アトムのブロンズ像と賞金200万円が贈られた。新生賞には「怪獣を解剖する」(KADOKAWA)のサイトウマドさん、短編賞には「あたらしいともだち かわじろう短編集」(マガジンハウス)のかわじろうさん、特別賞には「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」(白泉社)の武田一義さんが選ばれ、それぞれブロンズ像と賞金100万円が授与された。

マンガ大賞の児島青さん「ただ描くしかない」

マンガ大賞を受賞した児島青さんは、古書店を舞台に古本の魅力や人々の心の揺れ動きを丁寧に描く群像劇で評価された。スピーチでは、「自分でいいのかという思いは、この期に及んでもまだぬぐいきれませんが、こうなった以上は、できることと言えば、ただ描くことしかないというすがすがしい諦観のようなものも覚えています」と語った。

新生賞のサイトウマドさん、怪獣学者の奮闘をポップに描く

新生賞のサイトウマドさんは、大型怪獣の上陸が相次ぐ近未来を舞台に怪獣学者の女性の奮闘をポップに描き、「突き抜けた設定の中でエンタメ性と社会性を両立させた高い技量」が評価された。スピーチでは、第29回短編賞受賞者・榎本俊二さんが瀬戸大橋について語ったエピソードを紹介し、「巨大な構造物の足元で人間が暮らしていることや、一人ひとりの暮らしを意識せずに橋を利用する人がいることの対比について語り、『怪獣を解剖する』という作品はそのようなことを描いていたマンガだったのかなと思いました」と述べた。

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短編賞のかわじろうさん、丸っこい絵柄で温かなエピソード

短編賞のかわじろうさんは、丸っこい絵柄で10人の主人公のほんのりと温かなエピソードが連なる作品集で受賞。授賞式にはカッパのかぶり物で登場し、スピーチでは「マンガというのはそもそも、自分が表現したいと思ったことが読んだ人に伝わる、そのこと自体が面白いことなんじゃないかと思うようになりました」と語った。

特別賞の武田一義さん、戦後80年に反戦平和のメッセージ

特別賞の武田一義さんは、パラオ・ペリリュー島での太平洋戦争の激戦を描き、「マンガ本編と映画版が見せた戦争表現の新境地と、戦後80年の年に放った反戦平和の力強いメッセージ」が評価された。スピーチでは、自らの作品を「戦争を知らない世代の戦争マンガ」と位置づけ、「子どもたちが将来、何かのきっかけで『自分も戦争マンガを描いてみようかな』と思ったときに作品は本当に成功したと言えるのではないか」と語った。

贈呈式後の記念トークイベントでは、手塚治虫さんの長女・手塚るみ子さん、選考委員のトミヤマユキコさん、矢部太郎さん、「毛塚治虫先生」に扮したお笑いコンビ「ガリットチュウ」の福島善成さんが手塚治虫さんの魅力を語り合った。

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