秋冬メンズコレクションで日本人デザイナーが存在感、関口究氏がパリで報告
秋冬メンズコレクション、日本人デザイナーが存在感

秋冬メンズコレクションで日本人デザイナーが存在感、関口究氏がパリで報告

2026年1月20日から25日にかけて、2026年から2027年秋冬パリメンズコレクションが開催されました。現地で取材を行ったファッションジャーナリストの関口究氏が、印象に残ったブランドについて詳細に報告しています。近年、メンズファッション界では日本人デザイナーへの注目が高まっており、今季も独創的な服作りを通じてその存在感を示していました。

コム・デ・ギャルソン・オム・プリュス:ブラックホールからの脱出を表現

川久保玲氏がデザインを手がける「コム・デ・ギャルソン・オム・プリュス」は、コレクション発表後に「ブラックホールから抜けだそう」というメッセージを公表しました。これは、光さえも飲み込み、時間や空間の歪みをもたらすブラックホールに現代社会を重ねたものと考えられます。服は黒を基調としており、うねるようなギャザーや引き裂かれたように変形したジャケットは、現代人の複雑な感情を表現しているかのようです。しかし、フィナーレで登場した白色の作品は、一筋の希望を感じさせるものでした。

ケンゾー:高田賢三氏へのオマージュと多文化の融合

「ケンゾー」の会場は、創設者である高田賢三氏が1990年代から2009年まで暮らしたパリ市内の邸宅でした。美しい庭園があり、木材を多用した日本の美学が詰まったこの場所で、デザイナーのNIGO氏は、自由や色彩、喜びを感じてもらいたいという思いから、日常で着られる多彩な服を提案しました。これは、2020年に亡くなった高田氏への敬意を表したオマージュとされています。高田氏は世界各地の民族衣装から着想を得た装いで知られており、NIGO氏による新作も、着物風のジャケットや日本製のデニム、カウボーイシャツ、イタリア仕立てのテーラードスーツなど、様々な文化が織り込まれていました。

ヨウジヤマモト:軍服を着想源にした色気と優しさ

「ヨウジヤマモト」は軍服を着想源としたコレクションを発表しました。カモフラージュ柄のようなコートや、潰れた空き缶を装飾に用いたベストやハットは、戦う男たちを想起させつつ、どこか色気も感じさせるものでした。一方で、体を包み込むかのように柔らかで温かみのある素材からは、優しさが伝わってきます。困難な状況にある人々に深い愛情で寄り添う、山本耀司氏の心情が表れているようでした。

オーラリー:冬を明るく和やかにする喜びの提案

岩井良太氏が手がける「オーラリー」は、冬を喜びに満ちたものにするには何が必要か、という問いを出発点としています。象徴的なのは、カーフスキンを使用したダウンのブルゾンで、繊細でつやがあり、上品な雰囲気を演出していました。ともすれば陰鬱に感じられる冬を、明るく和やかにしてくれる作品となっています。

今回のコレクションでは、日本人デザイナーらがそれぞれの服に込めたメッセージの意図が明確に示され、時代を先導するデザイナーの力を再認識させるものとなりました。各ブランドが提供した写真も、その独創性を際立たせています。