観客を喜ばせる試みに満ちた、あっという間の2時間12分である。1977年の第1作から始まった「スター・ウォーズ」シリーズの最新作だが、事前知識がなくても予習の必要はない。今まで一度もシリーズを見たことがない人が、いきなり本作を観ても大いに楽しめるだろう。
作品の背景と舞台
舞台は帝国が崩壊し、無法地帯となった銀河。伝説の賞金稼ぎ・マンダロリアン(ペドロ・パスカル)と、50歳を超えているが種族としては言葉も話せないほど幼く、強大な力を秘めたグローグー。親子を超える絆で結ばれた2人は、帝国の残党を探し出す依頼の手がかりを求め、かつて銀河の裏社会を支配した“犯罪王”の息子、ロッタ・ザ・ハットに会いに行くが、やがて数々の危機に巻き込まれる。
日本文化へのオマージュ
西部劇的な雰囲気とともに、日本を感じる要素も随所に散りばめられている。マンダロリアンとグローグーが連れ立って、様々な場所で敵と戦いながら目的を遂げるストーリーは「子連れ狼」を思わせる。また、三度笠のようなものをかぶったキャラクターが闇夜の激しい雨の中でたたずむシーンは、白黒の黒沢映画を彷彿とさせる。
球体の乗り物を操るグローグーには、アニメ映画化もされた漫画「AKIRA」を想起する人も多いだろう。彼のかわいらしさにやられてしまうこと請け合いだ。いたずら好きで食いしん坊な彼は、笑いどころも作ってくれる。そして、マンダロリアンのために懸命に行動する姿はいじらしい。
映像技術と実写の融合
今作でも、実写と映像技術の絶妙な配合が魅力だ。パスカルが演じるマンダロリアンはもとより、グローグーもパペット(人形)で実写である。複数の人形遣いが連携し、まばたきや耳の上げ下げ、たどたどしい手つきなど、考え抜かれた動きで幼さやかわいらしさが表現される。最先端の映像技術と実写を合わせて映像を流麗にしすぎない点は、技術が進んだ今だからこそ観客の心を引きつける。
奥行きを感じる画面も見応えたっぷりだ。水中や空中、街中を疾走する乗り物の運転席からの視点など、映像体験としても満足度が高い。雪山、砂漠、洞窟の場面も細部まで作り込まれ、全く飽きない。銃撃戦の弾道や戦いで吹っ飛ぶキャラクター、破壊され崩れていく自然や人工物がすごいスピードで多方向に飛び交っていく。目の周りの筋肉を駆使し、スクリーンの端から端まで追いかけて楽しみたい。ジョン・ファヴロー監督。



