ドイツを拠点に活動するピアニスト、アリス紗良・オットが、映画『博士と彼女のセオリー』の音楽などで知られるアイスランドの作曲家ヨハン・ヨハンソンのピアノ作品を集めた新作アルバムをリリースした。静かに心に語りかけるような「親密で切実な音楽」であり、「せわしく騒がしい世の中だからこそ聴いてほしい」と彼女は語る。
ヨハンソンの遺作をピアノソロに
数々の映画音楽の作曲やスタジオ録音に精力的に取り組んだヨハンソンは、2018年に急逝した。今作では、ヨハンソンのアルバム『エングラボルン』『オルフェ』やドキュメンタリー映画などの音楽をピアノソロにアレンジした全30曲を収録している。
アイスランドでの録音と特別なピアノ
録音はヨハンソンの故郷であるアイスランドの首都レイキャビクで行われた。生前に本人と会う機会はなかったが、彼を知る人々との交流を通じて「音楽への理解を深められた」と振り返る。現地のスタジオにあったアップライトピアノとの出会いが特別なインスピレーションをもたらしたという。
「ノスタルジックな音を出すそのピアノを弾くことで、演奏する際に感じたさまざまな疑問が解消される思いがしました。アルバムのほとんどの曲をそのピアノで弾きました」とオットは語る。
音楽に込められた悲しみと美しさ
ヨハンソンは自身の音楽に関するインタビューで「悲しみの美しさに引かれてきた」と述べていた。オットは実際に作品を弾いたとき、曲の奥底に「悲しみ」を感じたという。「自分と直接関係しない感情に触れ、さまざまな人と共有することができる。音楽には人と人を結ぶ力があり、だからこそ美しいと思います」と彼女は語る。



