公開中の映画『廃用身』で、染谷将太さんは主人公である医師の漆原糾役に挑んだ。この作品は、介護現場におけるケアのあり方を巡るヒューマンサスペンスである。
原作と役柄への思い
原作は医師であり作家の久坂部羊さんの同名小説。医療の実体験に基づくリアルな場面やセリフが多く含まれている。染谷さんは「演じるのに勇気が必要だった。漆原という人物にちゃんと説得力を持たせないと描ききれないテーマだと思った」と振り返る。
画期的な治療法
漆原は自身が運営する介護施設に通う高齢者に、画期的な治療を試みる。それは脳梗塞などで動かなくなった手や足を手術で切除するというものだ。最初は体の一部を失うことに戸惑っていた患者たちも、身軽になったと感じたのか、笑顔を取り戻す。介護する家族や職員の負担も軽くなり、施設に笑い声があふれる。
次々と患者にこの治療を施す漆原は一見、冷酷な医師のように映るが、世のために行うという熱い正義感を持っている。「新しいケアを普及させるんだという信念を力強く演じようと思った」と語る。
天使か悪魔か
画期的な治療を行う漆原は天使か悪魔か。世に問いかける劇薬のような要素のある作品でもある。染谷さんは自身も中学生の頃から様々な映画を見るようになり、映画から受けた衝撃や感動は今も覚えている。「『廃用身』も刺激的な作品だが、年を重ねるとよりわかる部分もあるので、大人になってからも見返してほしい」と語る。
俳優としての成長
9歳から俳優として活躍し、33歳になった染谷さん。「演じられなくなった役がある一方で、できるようになる役も増えていく」と、役者という仕事への思いは高まるばかり。キャリアも年齢も重ねたからこそ輝く演技を、これからも見せてくれるに違いない。
プロフィル
染谷将太(そめたに・しょうた)は1992年9月3日生まれ、東京都出身。9歳の時に映画『STACY』でデビュー。2011年に映画『ヒミズ』で共演の二階堂ふみさんとともに第68回ベネチア国際映画祭新人俳優賞を日本人で初めて受賞した。2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では天才絵師の喜多川歌麿を演じた。



