「へえ。ここが事務所ですか」と伊達が物珍しげに室内を見回しながら言った。「思ったより狭いですね」
日村がそれに応えた。「うちは、所帯が小さいですから。さ、こちらへどうぞ」と代表室に案内した。
阿岐本が立ち上がり、出迎える。「いやあ、わざわざご足労いただいて、あいすいません」
伊達が言う。「へえ。ここが組長室ですか。さすがに、それらしいですね。立派な神棚もあるし……」
「この建物もすっかり古くなっちまって」と阿岐本が応接セットに移動し、伊達にソファを勧める。「誠司。おめえも座んな」「はい」
三人が腰を下ろすと、阿岐本が言った。「電気製品もすっかり古くなっちまってます。エアコンなんて、とうに買い換え時を過ぎちまって……」
「不具合がありますか?」と伊達が尋ねる。
「エアコンですか? いえ、まだちゃんと働いてますが、電気製品ってのは十年ほどで寿命が来るように作ってあるとか……」
「世間ではそんなことを言われてますが、使用頻度や環境によって寿命が違うんですよ。不具合がなけりゃ、そのまま使っていればいいんです」



