「自分の感受性くらい」などの作品で知られる詩人茨木のり子と、愛知県西尾市のつながりを紹介するミニ展示「詩人茨木のり子とふるさと西尾」が、西尾市岩瀬文庫で開かれている。6月12日に生誕100年を迎える茨木は、6歳から10年あまりを現在の西尾市で過ごした。
学生時代の貴重な資料を展示
展示では、茨木が西尾高等女学校時代に、教員と生徒で作る「校友会」の文集に寄せた作文や、1943年の卒業記念アルバムなどが紹介されている。1年生の時に書いた作文「野良犬」は、留守番中に室内に上がり込んでいた野良犬を見つけた時の心の動きを描いたもの。初めに嫌悪感を抱いてから、逃げていく姿を見て哀れさを感じるようになるまでの過程が細やかにつづられている。
2年次の作文「お風呂」は、寒い日に湯船につかった時の、心も体もほぐれていく様子を丁寧に描写。2編の作文からは、後に優れた詩人となる茨木の豊かな感性がすでに垣間見える。
戦時中の学生生活を伝える資料も
「お風呂」が掲載された1941年3月の「校報」には、別の生徒が「戦争ごっこ」と題した作文を寄せていたり、モンペが「準制服」となったことを示す記事が載ったりしており、戦争の色が濃くなりつつあった学生生活の様子も伝わってくる。卒業アルバムでも生徒はモンペを着用している。
詩の世界を堪能できるタペストリー
会場には、「自分の感受性くらい」や戦争の悲しさを描いた「わたしが一番きれいだったとき」などのよく知られた詩や、故郷の町と父のことをつづった「花の名」など、西尾にゆかりのある詩計10作品の大きなタペストリーも飾られており、茨木の詩の世界をじっくり味わうことができる。
学芸員の上野加耶子さん(32)は、「ストレートに心に刺さり、読む者に自分も頑張らなくてはと思わせてくれるのが、茨木さんの詩の魅力。最も感受性豊かな時期を西尾で過ごしたことも、生誕100年のこの機に知ってもらえたらうれしい」と話している。
展示概要
ミニ展示は11月3日まで。会期中、数回展示替えを予定しており、6月27日からは茨木の学生時代終盤から上京後に焦点を当てた内容に切り替わる。入場無料。休館日は月曜(祝日は開館)と第3木曜(7、8月は開館)。



