富山市出身の俳優、西村まさ彦さん(65)が主宰する劇団「演劇集団 富山舞台」の公演が、12日から14日まで滑川市民会館(寺家町)で開催される。4年前に設立された県民で構成される劇団は、節目となる第10回公演で、劇作家・演出家のつかこうへいによる名作「熱海殺人事件」に挑む。西村さんは「心を揺さぶる演者の圧倒的な熱量と破壊力を引き出したい」と意気込みを語っている。(松田拓也)
稽古場での熱のこもった指導
本番10日前の今月2日夜、富山市内の稽古場では、西村さんの指導の声が響き渡っていた。「ちょっと大きな声を出すくらいじゃダメ」「もっと激しく」――。立ち止まり方や身振りの強弱に至る細かな演出に対し、劇団員は声をからし、汗を流しながら応えていた。
2022年に旗揚げされたこの劇団には、西村さんが2019年に富山市で設立した俳優養成講座の卒業生らが参加している。そのため、劇団員は全員が県内在住者だ。現在は20~60歳代の俳優とスタッフの計22人が所属し、県内を中心に定期公演や朗読会を年に約20回行ってきた。
西村さんは「富山に演劇文化が少しでも根付けばいい。初めは手探りだったが、劇団員も成長し、自発的に動いてくれるようになった」と目を細めて語る。
「熱海殺人事件」の魅力
「熱海殺人事件」は、警視庁の部長刑事・木村伝兵衛が、熱海の海岸で起きた殺人事件を巡り、富山から赴任した刑事・熊田や婦人警官・片桐とともに、容疑者の大山を取り調べていく物語だ。
セリフ量が多く、熱気にあふれるこの演目を第10回公演に選んだ理由について、西村さんは「体を使ってセリフを言えるようになってほしい。全く毛色の違う作品をやってみるのも刺激的。昭和を代表する劇作家の作品を通し、今と違う表現のあり方を感じ取ってもらいたい」と力を込める。
今回の公演では、それぞれ4人の「熱」と「海」のチームに分かれてのダブルキャストで臨む。
団員の熱意と取り組み
団員らはほかに生業を持っており、熱のこもった稽古は平日の夜や土日に行われ、時には深夜に及ぶこともある。この公演のために、約3か月間、稽古を重ねてきた。
容疑者・大山を演じる富山市の前田奈津さん(44)は「限界を超える必要がある。(西村さんの演出に)食らいついて一皮ふた皮むけたい」と目を輝かせる。
刑事・熊田を演じる富山市の福田敏彦さん(67)は、捜査1課長も経験した県警OBだ。「警察官の考え方や犯人との接し方など、色々な面で経験を生かせるはず。若い俳優と一緒に汗をかいて必死に演じる姿に、何かを感じ取ってもらえたらうれしい」と力を込める。
公演詳細
公演は各日2回ずつ、計6回。全席自由で一般3000円、高校生以下500円など。問い合わせは同劇団(050・3692・1617)まで。



