世界遺産の門前町に息づく歴史とグルメ
世界文化遺産・富士山の価値を構成する資産の一つである「富士山本宮浅間大社」の門前町に位置する宮町商店街(富士宮市)。富士宮グルメを堪能できる「お宮横丁」や、創業100年以上の老舗が立ち並び、観光地としてにぎわいを見せている。
平安初期に造営された同大社に隣接する商店街には、江戸中期から続く薬局や明治初期に創業されたパン屋などがあり、古くから地元住民の暮らしを支えてきた。約300メートルの通りには、現在も約30店舗が軒を連ねている。
商店街の店舗で構成する「富士宮宮町商店街振興組合」の代表理事、森一弘さん(54)は「元々は地元に密着した商店が多かったが、県外や外国から訪れる人が増え、観光地としての側面が強まっていった」と語る。
「お宮横丁」で味わう富士宮やきそばの魅力
ひときわにぎわうのが、富士宮やきそばなどご当地グルメを堪能できる観光スポット「お宮横丁」だ。横丁内では目の前で焼きそばを調理してくれ、外国人観光客らがおいしそうに食していた。富士山の湧き水を飲めるサービスも好評だ。
横丁の一角に店を構える「むすびや」の小沢政和店長(57)が富士宮やきそばの三大特徴を解説する。〈1〉「蒸し麺」を使用し、〈2〉豚の背脂からラードを搾り取った残りを揚げた「肉かす」などを加え、〈3〉仕上げに「イワシの削り粉」をかける――ことだという。小沢さんは「麺はモチモチで歯ごたえ抜群。これからも富士宮やきそばのおいしさを広めていきたい」と意気込む。
新たな味を取り入れる店もある。横丁内の「富士宮やきそばアンテナショップ」では、富士宮特産のニジマスで作った「にじます 魚醤の富士宮やきそば」を販売している。一般的なしょうゆよりも塩分が強く、ニジマスのコクのあるうまみが凝縮された逸品だ。運営会社「プロシューマー」の渡辺彩専務は「ソースの代わりに魚醤を使うことで、地産地消につながる」と期待を込める。
老舗パン屋「江戸屋本店」の地元愛あふれる逸品
明治2年創業の老舗パン屋「江戸屋本店」では、地元食材を使ったパンや、プリンなどのスイーツを味わえる。店内にはカフェやギャラリーも併設され、地元の画家らによる作品を眺めながらパンを味わえる癒やしの空間となっている。
人気商品は、富士宮産の卵や生乳などの材料で作る「クリームパン」(税込み237円)。社長の谷健次郎さん(50)は「地元の新鮮な卵と厳選したミルクを使った自家製のカスタードクリームが自慢」と胸を張る。パンの中には、生地に対して約1.5倍の量のカスタードクリームが入っており、満足感たっぷりだ。
谷さんは「富士宮は食材が豊富で、水や卵、野菜などがおいしい。食を通じて、地元の良さを知ってもらいたい」と語った。
国の登録有形文化財「吉沢家住宅 煉瓦蔵」
商店街の一角にある文具店「文具の蔵Rihei」の中庭には、国の登録有形文化財「吉沢家住宅 煉瓦蔵」がたたずむ。明治期に建てられたレンガ造りの蔵として残る貴重な建物で、文明開化の息吹を今に伝えている。
1891年に建てられ、2015年に国の登録有形文化財に登録された。土造瓦葺きの2階建てで、建築面積は49平方メートル。現在、蔵の外壁は塗り壁となっているが、みそを保管するために利用した「味噌部屋」の内壁に、趣あるレンガ積みを確認できる。
蔵はギャラリースペースとしても活用され、不定期で展示会や個展などが開催されている。会期外も、営業時間内に自由に見学できる。6代目の吉沢祐太さん(52)は「歴史的に貴重な遺産を多くの人に見ていただければ」と話す。水曜定休。営業時間は午前9時半~午後6時半。問い合わせは同店(0544・27・2725)。



