肥料最大手のJA全農、値上げは不可避と見通し 中東情勢悪化で原料尿素が高騰
農協(JA)グループの全国組織であるJA全農の尾本英樹専務は、2026年3月30日に東京・大手町で行われた記者会見において、各地の農協を通じて農家に販売する肥料について「今後、値上げは避けられない」との厳しい見通しを明らかにしました。この背景には、中東情勢の悪化に伴う原料の尿素価格の急騰が大きく影響しています。肥料価格の上昇は、最終的には農産物の値上がりにつながる可能性があり、消費者への波及が懸念されています。
国内流通の5割を扱う最大手、供給不安は当面なしとしながらも
JA全農は、国内で流通する肥料の約5割を扱う業界最大手として知られています。尿素は化学肥料の主要な原料であり、日本は主にマレーシアからの輸入に依存しています。尾本氏は会見で、直ちに供給面で不安が生じることはないと説明しました。しかし、世界の輸出用尿素の4割が中東産であることから、同地域の情勢悪化は国際価格全体に大きな影響を及ぼしています。
実際に、農林水産省のデータによれば、尿素の国際価格は2月下旬と比較して約6割も上昇している状況です。中東情勢の緊迫化を受けて、既に国際市場では価格高騰が進行しており、この流れが日本国内にも波及していることが分かります。
春の肥料需要を前に、農家や消費者への影響が焦点に
尾本専務は、春の農作業期までに使用される肥料については、ある程度の在庫を確保していると述べました。とはいえ、中長期的に見れば、原料コストの上昇が肥料価格に転嫁されることは避けられないとの見解を示しました。この動きは、米や野菜などの農産物の生産コストを押し上げ、結果としてスーパーや市場での価格上昇につながるリスクをはらんでいます。
肥料価格の高騰は、農業経営を圧迫し、食料安全保障にも影響を及ぼす可能性があります。政府や関連機関は、価格動向を注視しながら、農家支援や安定供給の確保に向けた対策が求められるでしょう。今後の国際情勢や市場の動向が、国内の農業と家計に与える影響から目が離せません。



