日本酒輸出が好調拡大も酒米高騰が逆風に 海外需要増加に原料調達難が影
日本酒輸出拡大も酒米高騰が逆風 海外需要増に原料難

日本酒輸出が過去最多の81か国・地域に拡大 日本食ブームが追い風に

日本酒の輸出が好調な伸びを見せている。国内市場が人口減少などで縮小傾向にある中、各地の酒蔵が積極的に海外販路を開拓し、2025年には輸出先が過去最多となる81か国・地域にまで広がった。日本酒造組合中央会の発表によると、25年の輸出量は前年比8%増の約3万3500キロリットル、輸出額も6%増の約459億円に達し、過去最高だった22年の水準に迫る勢いだ。

海外市場の裾野が拡大 中国が輸出額トップに

国・地域別の輸出額では中国が133億円でトップを維持。韓国やカナダ、フランスへの輸出額が過去最高を記録するなど、世界的な日本食ブームを背景に海外市場の裾野が着実に広がっている。米国向けは3%減の110億円だったが、これはトランプ政権の関税措置の影響が限定的だったことを示している。

八海醸造(新潟県)のように、1995年から米国への輸出を開始し、長年にわたり海外展開に力を入れてきた酒蔵も存在する。同社の2025年輸出額は前年比で1割増加し、担当者は「小売店での取り扱いが増えた韓国向けの伸びが特に目立っている」と語る。

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神奈川の老舗酒蔵が海外向け商品を開発

神奈川県松田町で200年以上続く老舗酒蔵「中沢酒造」は昨年、新たにスペイン向けの輸出を開始した。同社の輸出先は中国、米国、シンガポールなど計6か国に拡大している。

輸出の中心となっているのは、海外市場向けに特別に醸造された商品「S.tokyo」。特殊な酵母を使用し、甘めの味わいに仕上げたこの日本酒は、現地の飲食店ではデザートワインのように楽しまれているという。

11代目の鍵和田亮さん(39)は「国内市場が縮小する中、海外の販路は着実に増やしていきたい」と意欲を語る。今後はすっきりとした飲み口で食事の邪魔をしない辛口の日本酒も展開し、出荷量の増加を図る方針だ。

酒米高騰が輸出拡大の逆風に 生産減少で原料調達難

しかし、輸出拡大に向けて深刻な逆風が吹いている。それが酒米の価格高騰だ。農林水産省のデータによると、25年産の酒米は、代表的な品種である山田錦(兵庫県産)が前年比で約2割も高く取引されている。

主食用米への転換が進み酒米生産が減少

さらに問題なのは、主食用米の価格が上昇し、酒米の価格を上回っていることだ。このため生産者の間では、酒米から主食用米への転換が広がっているとみられる。25年産の酒米生産は前年から約1割減少する見通しで、原料の調達難から日本酒の製造量を抑制せざるを得ない酒蔵も出始めている。

関係者は「海外市場のニーズは確実に高まっているのに、輸出数量を十分に確保できない可能性がある」と懸念を表明する。資材費やエネルギーコストの高騰も収益を圧迫する中、生産者は難しい対応を迫られている状況だ。

日本酒輸出の好調さと原料調達の難しさという二つの現実が、日本の伝統的な酒造り産業に新たな課題を投げかけている。

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