幻の花の再興へ、高校生のアイデアが美容液を生み出す
山形県鮭川村でかつて特産品として知られながら、今では幻の花とも言われる「ミチノクヒメユリ」の再興を目指し、地元高校生らのアイデアから生まれた美容液が、大手化粧品メーカーから2026年4月に発売される。生徒たちは、この取り組みが花の知名度向上と地域活性化のきっかけになることを願っている。
ミチノクヒメユリとは
ミチノクヒメユリはユリ科の植物で、草丈40~50センチ、華やかな朱色の星形をした7~8センチの花を咲かせる。かつて東北地方の山々に自生し、鮭川村では戦後に切り花として栽培され、ピークの1976年には年間約50万本が生産されていた。しかし、ウイルスの蔓延などの影響で生産が減少し、1982年以降は出荷が途絶え、現在では自生種もほぼ見られなくなっている。
高校生による再興への挑戦
「幻の花を何とか復活させたい」と立ち上がったのは、隣接する新庄市にある県立新庄神室産業高校の生徒たちだ。2013年から授業で種の存続を目的に球根の培養を研究し、増殖に成功。3000個以上の球根を村に寄贈し、試験栽培の規模を徐々に拡大してきた。
2018年からは化粧品への活用に挑戦し、鮮やかな花から口紅や香水を考案したが、収量の少なさなどの課題から断念。難航する中、化粧品の原料メーカー「テクノーブル」(大阪市)が協力を申し出て、2022年度に本格的な共同研究が始まった。
葉の成分に着目した美容液開発
研究で着目されたのは、球根を培養する過程でカットされ、廃棄されていた葉の部分だ。肌のくすみなどに効果があるとされるポリフェノールを含むことが判明し、日照時間や培養日数の試行錯誤を重ねて、十分な量の抽出が可能となった。
農産資源の活用に力を入れる化粧品大手「ポーラ」(東京)がこの成分を基に美容液を開発。テクノーブルの担当者は「新たな可能性に満ちあふれ、高校生の熱い思いも詰まっている」と語る。
8年がかりの実現と生徒たちの思い
8年がかりで化粧品が実現し、農産活用科2年の斉藤千太郎さん(17)は「先輩の思いも背負ってきた。全国の皆さんの手に届くのはうれしい」と喜びを表す。食料生産科2年の長南姫愛さん(17)も「知名度が上がれば花の復活につながる」と期待を込める。今後も栽培の研究を続ける方針だ。
地域への期待と発売詳細
鮭川村産業振興課の担当者は「村内にたくさんあった花が絶滅の危機に直面している。昔のような景色を復活させられたらうれしい」と話し、ミチノクヒメユリが再び脚光を浴びることを期待している。
美容液は175グラムで税込み4620円、2026年4月1日発売予定。全国のポーラの店舗とオンラインストアで数量限定で取り扱われる。



