トラフグの雄だけ生まれる技術開発、白子が大きく育つ雄を安定養殖可能に
トラフグ雄だけ生む技術、白子大きく育つ雄を安定養殖

トラフグの雄だけ生まれる技術開発、白子が大きく育つ雄を安定養殖可能に

白子(精巣)が大きく育つ特徴を持つトラフグの雄だけが生まれる技術を開発したとして、長崎県総合水産試験場(長崎市)の研究員ら2人が、日本水産学会水産学技術賞を受賞しました。この技術により、高値で取引される白子がある雄を安定して養殖できるようになり、養殖業者の経営安定にも大きく貢献しています。

受賞した研究員と長崎県のトラフグ養殖の現状

受賞したのは、同試験場魚類科の主任研究員、吉川壮太さん(42)と、県上五島水産業普及指導センター(新上五島町)の主任技師、浜崎将臣さん(51)です。長崎県内では、長崎市や松浦市を中心にトラフグの養殖が盛んで、2023年の生産量は1083トンに達し、国内生産量の約4割を占めています。しかし、安価な輸入品の流入や生産コストの高騰などの課題があり、養殖業者の所得向上を目指して、東京大学や東京海洋大学との共同研究が進められてきました。

雄だけが生まれる技術の開発過程

浜崎さんは、トラフグの雄だけが生まれる技術を開発しました。トラフグの雌雄はXとYの染色体の組み合わせで決定され、XYは雄、XXは雌となります。浜崎さんは、トラフグのY染色体だけを持つ細胞を、成長が早いクサフグの雌の腹に移植し、トラフグの雄と交配させることで、自然には生まれないYY染色体を持つ雄を生み出すことに成功しました。このYY染色体の雄と通常の雌を交配させると、生まれてくるトラフグは全て雄になることが確認されました。

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ただし、クサフグへの細胞移植は、拒絶反応が出ない稚魚の時期に行う必要があり、体長約3ミリの稚魚への移植は失敗が多かったといいます。何度も試行錯誤を繰り返し、ようやく確実な方法を見つけたと語っています。

白子が大きく育つ特徴を持つ個体の選抜

一方、吉川さんは、養殖トラフグ約1000匹をゲノム解析し、需要が高い12月頃に白子が大きくなる個体の特徴を発見しました。同じ特徴を持つ個体で交配を続けると、当初は約70グラムだった白子が、3世代目には約170グラムと重さが2倍以上に増加しました。トラフグは成熟するまで2~3年かかるため、優秀な特徴を持つ個体が病気や事故で死なないように飼育することに苦労したと述べています。

技術の組み合わせと社会への貢献

2人の研究を組み合わせることで、白子が大きく育つ特徴を持つYY染色体の雄の育成に成功しました。現在は、この雄の精子を養殖業者に提供し、より効率的に白子が大きく育つトラフグの雄を養殖できるようになっています。この養殖トラフグは、通常の単価より300円ほど高く取引されており、2023年の推定生産額は約6億5000万円に達するといいます。

水産学技術賞の受賞理由では、「科学的な裏付けを元に、技術展開し、社会貢献度の高い応用研究」と高く評価されました。1月には、県庁で2人が浦真樹副知事に受賞を報告し、吉川さんは「先輩方から引き継いできた研究を形にすることができて良かった」と喜びを語り、浜崎さんは「研究結果が実際に社会に実装されたことが評価された。養殖業者の手取りを増やすことに貢献できてうれしい」と話しました。

今後の展望

今後は、さらに大きな白子を持つ雄の育成を目指すとしています。2人は「長崎の養殖フグをもっと多くの人に知ってもらい、ブランド化していきたい」と意気込みを語り、地域産業の発展に寄与することを期待しています。

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