障害者がおしゃれを楽しめる下着を開発、機能性とデザイン両立
障害者がおしゃれ楽しめる下着開発、機能性とデザイン両立

障害があってもおしゃれな下着を――。下半身まひと排泄障害がある会社経営者の新藤杏菜さん(40)(広島市安佐南区)が、当事者としての体験から機能性とデザインを両立した下着を開発し、6月から自社サイトで販売している。「仕方なく選ぶのではなく、障害者がおしゃれを楽しめるように選択肢を広げたい」と話している。

突然の障害、受け入れられない日々

新藤さんは2008年に第2子の長女を出産した後、手の関節などに違和感を覚えた。受診した病院で自己免疫疾患の全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され、その後に併発した脊髄炎の影響で下半身がまひ。24歳で車いす生活になった。

日常生活では尿取りパッドが欠かせない。「少し前まで子どものおむつを替えていたのに、自分の姿を見るのが情けなくて」。突然の障害を受け入れられない時期が続いた。

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福祉下着への不満、デザイン性の欠如

福祉下着は機能性重視で地味なデザインのものばかり。はく気になれず、通常の女性用ショーツを使い続けたが、着脱が難しく、どうしても尿取りパッドがはみ出してしまう。「障害者になっても、かわいい物を身につけたいという気持ちは変わらない」と心のもやもやが募った。

転機は友人との出会い、ブランド設立へ

転機は23年。友人が絵本を出版することになり、その記念イベントに出席した際、参加者の前で自身の身の上を話すことになった。その中で、「はきたいと思える下着があったらいいな」という思いを口にすると、「一緒に作ろう」と声をかけられたという。賛同の輪はさらに広がり、25年7月に下着ブランド会社「LeAILE(ルエイル)」を設立した。フランス語で翼という意味で、「自分らしく輝き羽ばたけるように」との思いを込めた。

試行錯誤の末に完成した「ケアエムショーツ」

デザイン画を何度も描き直し、繊維商社と試作を重ねた。同じような境遇の当事者や理学療法士に使ってもらって改良を加え、今年4月に完成。パッドがはみ出さない黒色のボクサータイプで、伸縮性に優れた肌触りのよい生地に、前面の開閉部や裾、ウエストにレースをあしらった。着脱しやすく肌に優しいテープを採用し、尿カテーテルを使用する際に固い接続部が直接肌に当たらない設計にもこだわった。

誰でも使えるデザインを重視

「誰でも使える下着であること」を重視し、産後の尿漏れなどに悩む女性たちにも着用してもらえるデザインにした。英語の「Care」と、思いを包み込むという意味の「Embrace」から「ケアエムショーツ」と名付けた。

価格と今後の展望

サイズはS~3Lで、税込み1万3200円。「もっと手が届きやすい値段にしたいけれど、どこかを削って妥協したくない」と葛藤もあったが、すでに商品を待ち望む人から問い合わせが相次いでいるという。

色やデザインのバリエーションを増やし、男性や子ども向けの下着の開発にも取り組むつもりだ。新藤さんは「いつかは街の下着店にも置いてもらい、誰でも気軽に手に取れるようにしたい」と話す。

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