宮古市、旧キャトル跡地活用方針を転換 駅前エリア一体整備でにぎわい創出へ
宮古市は、現在解体工事が進む旧商業施設「キャトル宮古」の跡地について、利活用方針を大きく転換したことを明らかにしました。これまで市は、跡地への新たな建物建設を目指し、官民連携によるプロジェクトを模索してきました。しかし、資材価格の高騰や地域の市場規模の小ささなどが障壁となり、民間事業者の参入が困難と判断。新たな戦略として、跡地単体ではなく、宮古駅前を含む周辺エリアを一体的に整備する方向へと舵を切りました。2027年度中の全体計画策定を目標に掲げ、地域活性化を推進していく方針です。
民間参入の困難さが方針転換の背景に
市は2026年1月20日に開催された市議会全員協議会で、この方針転換を説明しました。当初は2025年度内に基本計画を策定する予定でしたが、パートナーとなる民間事業者を見つけることができなかったと報告。昨年6月から実施した企業向けヒアリングでは、飲食業や福祉サービス、不動産開発業者など多様な業種に参加意向を確認しましたが、資材高騰による新規投資の難しさに加え、市場規模の小ささから収益確保が難しいとの回答が相次ぎました。
一部からは「補助金などの支援があれば参加可能」との声も上がりましたが、民間単独での事業成立は現実的ではないとの認識が強まりました。こうした状況を踏まえ、市は整備対象エリアを駅前まで拡大することを決定。跡地単体では周辺へのにぎわい創出効果が波及しにくいと判断し、駅前や市役所、中心市街地と連動させた街づくりで魅力向上を図る方針に転換したのです。
駅前一体整備のイメージ案を提示
市が示したイメージ案では、以下のポイントが盛り込まれています。
- 駅舎やバス待合室などを集約した複合施設を駅側に整備する。
- キャトル跡地を活用し、バスロータリーやタクシー乗り場などを再編する。
- 現在バスロータリーなどがある駅前に、人が集うことができる広場などを設ける。
ただし、周辺の土地・建物権利者やJR東日本、三陸鉄道などとの協議はこれからであり、現段階では「たたき台」に過ぎません。市は1月24日から2月6日まで市内各地でタウンミーティングを開催し、エリア一体整備の構想について市民の意見を聴取。大きな反対意見は出ず、おおむね好感触だったと報告されています。市民からは「キャトルが閉店してすでに4年がたっている。スピード感を持って取り組んでほしい」との要望も寄せられました。
社会実験を経て段階的な整備を計画
市は2026年度、近隣の末広町商店街で「チャレンジショップ」を開設するなど社会実験を実施し、市民のニーズを把握する予定です。キャトルの解体が完了する11月以降は、跡地も活用していく考えです。その後、2027年度中に全体計画を作成し、翌2028年度から駅前エリアでの整備設計に段階的に着手する見通しです。
市都市計画課の盛合弘昭課長は、「キャトル跡地だけでなくエリアを広げることで、駅前から中心市街地ににぎわい効果が波及する取り組みを進めていきたい」とコメントしています。旧キャトル宮古は1980年に「宮古ファミリーデパート玉木屋」として開業しましたが、コロナ禍の来客減などを受け2021年12月に閉店。市が2022年12月に建物と土地を取得し、2025年10月から解体工事が始まっています。



