長野県小布施町の中心部で4月、空き家を再生した複合施設「往来」がオープンした。東京からの移住者が発起人となり、元豆腐屋兼住宅だった建物を地域の交流拠点に生まれ変わらせた。運営は一般社団法人「小布施まちイノベーションHUB」が担い、同法人の事務所も併設される。
施設の概要と特徴
「往来」は町中心部に位置し、1階には有料のワークラウンジと中国茶カフェ「香茶」、シェアキッチンが設けられ、開放的な空間が広がる。2階のゲストハウスは最大6人宿泊可能な3部屋と会議室を備え、イベントや打ち合わせにも活用できる。施設全体が、訪れる人と地元住民が自然に行き交う場所となることを目指している。
発起人の思いと経緯
発案者は同法人事務局長の日高健さん(32)。東京都出身で、大学時代に小布施町などで開催された教育プログラムのスタッフを務めたことが縁で町とのつながりが生まれた。都内のコンサルティング会社に就職後も定期的に町を訪れ、短編映画祭の企画にも関わった。まちづくりへの関心を深め、「大企業相手の仕事よりも成果が実感できる。東京での会社員生活より新鮮」と感じ、2020年に退職して小布施町へ移住。地域おこし協力隊を経て、同法人の職を得た。
「往来」の開業は、町に通っていた当時の体験がヒントになった。移住者の先輩宅に泊めてもらい、まちづくりについて熱く語り合い、構想を形にする仲間たちの姿に感銘を受けた。誰もが気軽に立ち寄れる場所を作り、町ににぎわいを生み出したいとの思いから、2024年夏にプロジェクトを始動。建築士や学生らでチームを組み、空き家の改修費用は自主財源のほか、クラウドファンディングや行政の補助金を活用した。
今後の展望
施設は、今夏から始まる若者向けの仕事と暮らしの体験プログラム「大人の小布施留学」の滞在拠点にもなる予定だ。日高さんは「小布施での暮らしは人の顔が見え、地域と関わる充実感がある。かつての私のように、町外から来た人が地域の日常を体験し、まちと関わる入り口となる場所にしていきたい」と意気込んでいる。



