兵庫・尼崎市の桜名所が一大再生プロジェクトで蘇る
花見スポットとして長年親しまれてきた兵庫県尼崎市武庫元町の西武庫公園で、市が大規模な桜の再生事業に着手する。老木化が進んだ園内のソメイヨシノ約250本を、2026年度から順次撤去し、新たな木に植え替える一大プロジェクトだ。土壌の休眠期間を設けるため数年間は花のない状況が続くが、2033年度頃までに園内をピンク色に染め抜く桜並木の絶景を復活させる計画である。
交通公園として開設され、桜の名所に
西武庫公園は、全国的にも珍しい「交通公園」として1963年に兵庫県が開設した。交通ルールを学べるように、公道を模して信号機や標識などが設置された特徴的な施設だ。ソメイヨシノは当初から7ヘクタールの公園全域に植えられ、市内随一の桜の名所として定着した。管理は2012年に市へ委譲され、交通公園の機能は縮小されたものの、春を演出するピンク色のトンネルは市民の誇りとなり、地元住民らの実行委員会がまつりを開催するなどしてきた。
老木化による樹勢の衰えが深刻化
しかし、ソメイヨシノの寿命は一般的に50~60年と言われる。近年は加齢や菌への感染で樹勢が衰え、花が徐々に減り、枯死や強風での倒木も増加している。市は危険と判断した場合は伐採を進めるなど対応してきたが、園内には切り株も目立つ状況で、抜本的な対策が必要と判断し、全ての木を植え替えることにした。
土壌改善を経て、新たな桜を植樹
計画では、3年かけてソメイヨシノを順に根ごと撤去し、土を休ませる。土中で蔓延した菌を死滅させるには3~5年間かかるとされ、樹木医の協力を得ながら、土壌改善を確認できた箇所から新たな桜を植えていく方針だ。植樹の時期は2030~2033年度になる見込みである。
新たな桜については、本数や植樹エリアを検討し、同時期に寿命となるのを防ぐため、複数の品種を確保する予定。木の寄付を市民らに求めていくほか、ふるさと納税での資金集めも検討している。
市民から期待の声、市もブランド力向上に期待
絶景の再生に市民も大きな期待を寄せている。地元の自営業の男性(31)は「小学校入学の時、満開の桜に囲まれて記念写真を撮った。最近は花が元気を失って寂しかったが、よみがえる日が楽しみ」と話す。
尼崎市は2026年度一般会計当初予算案に、一部のソメイヨシノを撤去する費用など3400万円を計上した。市公園維持課の柏木洸一係長は「美しい風景の復活は市のブランド力向上にもつながる。公園や桜に愛着を持つ市民との協働事業として進めたい」と意気込みを語っている。
かつては交通公園として機能し、春にはピンク色のトンネルで市民を魅了した西武庫公園。老木化という課題に直面しながらも、再生プロジェクトを通じて、新たな時代の桜名所として生まれ変わろうとしている。



