ひこにゃんが20周年を迎え、ゆるキャラブームの先駆けとして新たな挑戦へ
滋賀県彦根市の公式キャラクター「ひこにゃん」が、2026年4月13日に誕生から20周年を迎えました。当初は単発イベント限定の予定だったキャラクターが、愛くるしい表情と彦根城在住という設定で全国的な人気を獲得し、「ゆるキャラ」ブームの火付け役となりました。
記念パレードに500人のファンが集結
13日午前、彦根城周辺では記念パレードが開催され、約500人のファンが声援を送りました。人力車に乗ったひこにゃんが手を振りながら登場すると、会場は大きな歓声に包まれました。大阪市住吉区から訪れた40代の女性会社員は「嫌なことがあっても、ひこにゃんを見ていると自然と元気になれます。これからもその愛らしい笑顔で多くの人を笑顔にしてください」と熱い思いを語りました。
パレード後の記念セレモニーでは、ひこにゃんファンクラブの名誉会長を務める東京オリンピック競泳2冠の大橋悠依選手(30)が駆けつけ、ひこにゃんに花束を贈呈しました。大橋選手のサプライズ登場に、会場はさらに盛り上がりを見せました。
招き猫をモチーフにしたユニークな設定
ひこにゃんは、彦根藩の2代藩主・井伊直孝を寺に導いて雷雨から救ったと伝えられる招き猫をイメージしてデザインされました。井伊家の赤い甲冑にちなみ、赤いかぶとをかぶっているのが特徴です。
2007年に開催された「国宝・彦根城築城400年祭」のPRキャラクターとして、デザインコンペで選ばれました。2006年4月13日には1167点の公募の中から「ひこにゃん」という名前が決定し、この日が正式な誕生日となりました。特別住民票の住所は「彦根市金亀町1番1号」(彦根城)と登録されています。
一時的なキャラから市のシンボルへ
ひこにゃんは、400年祭の開幕前から彦根城のすす払い行事や各地のイベントに着ぐるみで登場し、認知度を着実に高めていきました。開幕後は全国からファンが押し寄せ、来場者数は想定より約40%多い76万人に達しました。関連グッズは爆発的に売れ、滋賀大学の調査によれば、経済効果は約338億円に上ったとされています。
彦根市エンタテインメント課によれば、当初は「イベント終了後にお役ご免の予定だった」とのことです。しかし、予想を超える人気と経済効果を受けて方針を転換し、市の公式キャラクターとして定着していきました。
累計8000点以上の商品と90億円の売上
絵本やトレーディングカード、ゲームなど、2010年度から2025年度までの間に市に提出された使用許諾申請は約8000件に上ります。地元企業だけでなく、全国的な大手企業の商品にも採用され、関連商品の総売上額は90億円を突破しました。
市は当初、企業から商品販売価格の3%を許諾料として徴収していましたが、より広く活用してもらうことで地域活性化を図るため、2022年度から無償化を実施しました。この施策により、申請件数は再び増加傾向に転じています。
グッズ販売会社「アインズ」(滋賀県竜王町)はTシャツやステッカーなど約50点の商品を製造しています。同社の担当者は「ひこにゃんは既に高い認知度があり、改めて紹介する必要がない強力なコンテンツです。特に女性を中心とした根強いファン層からの購入が目立っています」と説明しました。
国内外から寄せられる熱い支持
ひこにゃんの人気は、毎年正月に彦根市役所に届く年賀状からも窺えます。2026年には国内外から約1万5000枚の年賀状が寄せられました。現在も彦根城では1日3回のパフォーマンスが行われており、全国からのイベント出演依頼も絶えません。
次の目標は本格的な海外展開
ひこにゃんはこれまで海外のイベントに出演したことはありますが、グッズの本格的な展開は行われていませんでした。彦根市は2025年春に中国で商標登録を申請し、現在審査を待っている状態です。
市ひこにゃんブランド推進室の山本恭裕室長補佐は「ひこにゃんとともに彦根市を世界にPRしていきたいと考えています。20周年を機に、新たな挑戦を始めます」と意気込みを語りました。一時的なイベントキャラから始まったひこにゃんが、20年の時を経て、今や世界進出を目指すまでに成長したのです。



