熊本地震から10年、阿蘇のコーヒーが被災者を癒やし村の名物へ 元教諭と教え子バリスタの挑戦
阿蘇コーヒーが被災者を癒やし名物に 元教諭と教え子の挑戦

熊本地震から10年、阿蘇のコーヒーが被災者を癒やし村の名物へ

熊本県南阿蘇村をコーヒーの里に変えようとする挑戦が、静かにそして確実に実を結びつつあります。元高校教諭の後藤至成さん(68歳、南阿蘇村在住)は、熊本地震の際に被災者を癒やした一杯のコーヒーに深く感動し、それ以来、コーヒー豆の栽培に情熱を注いでいます。この取り組みは、単なる農業プロジェクトを超え、被災した村の活性化と地域再生への強い願いが込められています。

教え子との再会が生む特別なコーヒー

後藤さんの思いは、高校時代の教え子である河津拓さん(29歳)との協力によって新たな段階を迎えています。河津さんは現在、村内でカフェ「H_NNTO COFFEE(ホントコーヒー)」を営むバリスタとして活躍中です。今年3月、後藤さんが栽培したコーヒー豆を持ち込んだ際、二人は共に焙煎を行い、その味を確かめ合いました。

後藤さんは「まろやかで後口がいい」と満足げに語り、河津さんも「カカオやナッツ系の香りが感じられますね」と応じました。この協力関係は、単なる師弟の絆を超え、地域の未来を築くパートナーシップへと発展しています。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

地震を乗り越えた栽培の軌跡

後藤さんがコーヒー栽培に目を向けたのは、約14年前にさかのぼります。当時、熊本県立阿蘇中央高校の教師として、農業系学科の授業の一環で、阿蘇地域に適した新たな農作物を探すプロジェクトに携わっていました。高地の厳しい環境に耐えるコーヒー豆に着目し、平均気温が低く火山性土壌の阿蘇でも品質の高い豆が栽培できると考え、校内の温室で実験的に栽培を開始しました。

しかし、収穫が可能になってから約1年後の2016年4月16日、熊本地震の本震が発生。南阿蘇村では最大震度6強を観測し、後藤さんの自宅も深く沈み込み、45度ほど傾くなどの甚大な被害を受けました。避難所で10日間を過ごした後、職員住宅に移り住むことになりました。

被災者を癒やした一杯が原動力に

地震の混乱の中、後藤さんはコーヒーが被災者の心を一時的にでも和らげる力を持っていることを実感しました。この経験が、彼の栽培への情熱をさらに強めるきっかけとなりました。厳しい環境と震災の苦難を乗り越え、コーヒー豆の栽培を続けることで、村の復興と活性化に貢献したいという思いが、彼の活動の根底に流れています。

10年目の節目に提供される特別な一杯

本震から10年となる2026年4月16日、後藤さんと河津さんは、手塩にかけて育てたコーヒー豆だけを使用した特別なコーヒーを提供する予定です。このイベントは、単なる記念日を超え、被災地の再生と地域の新たな名物創出を象徴する機会となるでしょう。後藤さんの「コーヒーを名物にして村を元気にしたい」という夢は、教え子との協力によって着実に現実のものとなりつつあります。

南阿蘇村のコーヒー栽培は、自然の厳しさと震災の悲劇を乗り越え、人々の絆と希望を育む物語として、これからも続いていくことでしょう。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ