谷塚駅前のイルミネーションが10周年、住民の手で育まれた冬の彩り
埼玉県草加市の東武伊勢崎線谷塚駅東口一帯を、鮮やかな光が包み込むイルミネーション。この冬、地元住民らで構成される谷塚駅周辺活性化協議会が主催する取り組みは、記念すべき10回目の節目を迎えました。企画の中心人物である協議会会長の斉藤雅信さん(78)は、「イルミネーションを続けたいという思いを、より多くの人に広げていきたい」と熱く語ります。
暗かった駅前を明るくしたい、住民同士の思いが結実
斉藤さんが街づくりに関わるようになったのは、10年余り前のことです。当時、谷塚駅前の自宅マンションの自治会長を務めていた斉藤さんは、地域の中心的存在だった浅古八郎さん(当時町会長)と出会いました。ある冬の夜、2人が会合から帰宅する際、駅東口は大型家電量販店の撤退後で暗く寂しい風景が広がっていました。「なんとか明るい街にしたいね」と語り合う中、浅古さんの「駅前の発展は街の発展につながる」という言葉が、斉藤さんの心に深く刻まれました。
翌日、浅古さんから電話が入り、マンションのイルミネーションを駅前一帯に拡大して街を彩ろうという構想が動き始めます。2人は自費で電球を購入し、住民ボランティアを募りました。2016年12月、約100人の住民が協力して飾り付けた8,000個の電球に明かりが灯り、手作りのイルミネーションが実現したのです。
地域の協力で規模拡大、学生の参加も新たな広がりに
その後、地元業者からの協賛や市の支援を得られるようになり、協議会を正式に立ち上げました。点灯式前には地元ミュージカルスクールの子どもたちによるミニコンサートも始め、イルミネーションは谷塚の風物詩として定着していきます。「だんだんきれいになるね」と楽しむ子どもたちの姿が、活動の励みになっていると斉藤さんは話します。
さらに、谷塚駅を利用する文教大学東京あだちキャンパス(東京都足立区)や、草加市内にキャンパスを持つ独協大学の学生たちも、設営や点灯式の運営に参加するようになりました。斉藤さんは、「学生たちが社会に出た後、ボランティアの精神で暮らす街に関わってくれることを期待している」と、担い手の広がりを喜びます。
仲間の遺志を継ぎ、新たな一歩を刻む
昨年8月、10回目の節目を目前に、浅古さんが81歳で亡くなりました。斉藤さんは「街を明るくしたい」という浅古さんの思いを受け継ぎ、協議会の会長に就任。今冬は初回の7倍以上となる5万8,000球を飾り付け、新たな一ページを刻みました。
現在の斉藤さんの願いは、イルミネーションを「草加の宝」として継続することです。「規模の大きなイルミネーションには及ばなくても、住民たちがつくった取り組みとして残していくことができれば」と語り、地域一体となった活動の未来に期待を寄せています。
斉藤雅信さん略歴:1947年東京都葛飾区生まれ。大手建築設計事務所勤務を経て、建築資材製造・販売会社「サイトー工業」(本社・草加市)を創業し、現在は同社会長を務める。谷塚駅周辺活性化協議会会長。今冬で10回目となる谷塚駅前のイルミネーションは、昨年12月7日に点灯式が行われ、2月22日まで開催された。



