埼玉県三郷市、治水施設「みさと地下神殿」で防災意識向上を図る
埼玉県三郷市は、防災への関心を深めてもらうため、市の治水施設「新和調整池」を「みさと地下神殿」と名付け、積極的なPR活動を展開している。この取り組みでは、春日部市にある国の治水施設「首都圏外郭放水路」とのコラボレーションによるグッズ制作が行われ、さらに今月、市民向けに初めての見学会が企画されている。
新和調整池の概要と「みさと地下神殿」の由来
新和調整池は、三郷市の「中央二丁目八丁堀公園」の地下に位置し、深さ約7.5メートル、広さは南北約40メートル、東西約50メートルに及ぶ。市によれば、25メートルプール約27杯分の雨水を貯留可能で、大量の雨水が河川に一斉に流れ込むのを防ぐ重要な機能を担っている。この施設は2002年から2004年にかけて土地区画整理事業で整備され、2013年に都市再生機構(UR)から市に移管された。
内部には約70本の柱が整然と並び、古代の神殿を思わせる威容を誇る。三郷市は2021年の東京オリンピックでギリシャ選手団の事前キャンプ地となったことなどから同国との交流があり、ギリシャのパルテノン神殿にちなんで「みさと地下神殿」としてPRしている。
首都圏外郭放水路を参考にしたPR戦略
三郷市の参考としたのは、国の首都圏外郭放水路だ。春日部市東部の地下50メートルにある世界最大級の地下放水路で、「地下神殿」として人気を集め、多くの観光客が訪れている。国土交通省は防災の知識を深める「防災ツーリズム」の拠点として、見学コースづくりなどに力を入れている。
これに倣い、三郷市も新和調整池の情報発信を強化。2023年度には国と連携し、首都圏外郭放水路の見学者に配られている「防災地下神殿」ステッカーと同様の「みさと地下神殿」ステッカーを制作した。調整池が公園の下にあることから、神殿の上で子どもたちが遊ぶデザインを採用。ステッカーには、市の鳥・かいつぶりにちなんだマスコットキャラクター「かいちゃん」「つぶちゃん」も登場させた。
グッズ制作と見学会の具体的内容
ステッカーが好評だったため、市は2024年度、同じデザインの缶バッジも制作。ステッカーと共に市役所内の河川課で配布している。また、新和調整池では2024年度に手すりや見学通路、照明を整備し、見学の受け入れ態勢を整えた。
3月28日には、市内の小中学生と保護者を対象とした初の一般向け見学会を開催予定で、国の施設「三郷排水機場」と合わせて見学し、治水や防災への理解を深めてもらう。市によると、既に定員30人を超える応募があり、市は15日までホームページで申し込みを受け付け、抽選で参加者を決める。
今後の展望と期待
河川課の担当者は、「みさと地下神殿を通して関心や興味をもっていただき、治水対策への理解を深めてもらい、市民一人一人の防災意識向上につながれば」と期待を込めている。この取り組みは、地域の防災力を高める新たな試みとして注目を集めている。



