双葉町に大型ホテル開業、復興の新拠点に
大和ハウスグループの「大和ライフネクスト」(東京)が福島県双葉町に建設した大型ホテル「FUTATABI FUTABA FUKUSHIMA」が1日、開業した。東日本大震災と原子力災害からの復興が進む中、住民帰還が遅れる町に人を呼び込む起爆剤として期待されている。
開業初日から多くの客でにぎわう
開業初日の1日、午後3時の宿泊受け付け開始前から多くの客が訪れた。予約は12月中旬に開始され、申し込んだのは県内の客がほとんどだという。町内の町営住宅に住む若宮紀章さん(56)は「この日を楽しみにしていた。よいワインやスパなどをぜいたくに楽しめる場所ができてうれしい」と笑顔を見せた。
復興学ぶ「ホープツーリズム」の拠点に
ホテルは中野地区復興産業拠点に立地。東日本大震災で津波被害を受け、かつては避難指示解除準備区域だった。2020年3月に駅周辺などとともに避難指示が解除され、22年8月には特定復興再生拠点の避難指示が解除された。しかし、町内の85%は帰還困難区域で、居住人口は257人(1日現在)と震災前の4%にも満たない。
ホテル周辺には東日本大震災・原子力災害伝承館や5月に開園した県復興祈念公園があり、震災からの復興を学ぶ「ホープツーリズム」の目的で利用が見込まれる。また、大規模な会議室を備え、国際会議の予約も既に入っている。
地元企業との協働とインバウンド需要
ホテルは地元企業との取引や県産食材の利用にも積極的だ。従業員が着用するユニホームは「ひなた工房福島双葉」を展開するアパレルメーカー「フレックスジャパン」(長野県)の製品を採用。同工房責任者の田中洋平さんは「着物のリメイク商品を扱うので、インバウンド(訪日外国人客)需要もあるかもしれない」と話す。
さらに、町内に事業所を構える撚糸加工「浅野撚糸」(岐阜県)の特別仕様のタオルを使用。復興に歩む町の姿を発信する狙いだ。
地元住民も希望を語る
5月下旬には地元住民を招いた宿泊会も行われた。震災前、中野地区に住んでいた高倉さだこさん(70)は「震災で何もなくなってしまった古里にすてきな場所ができて希望が持てる」と感慨深げに話した。
故郷に戻った従業員の思い
浜通り出身の従業員も特別な思いを胸に抱える。南相馬市原町区出身で飲食部門を統括するマネジャーの松本安弘さん(46)は、東京などのホテルでスキルを磨き、故郷への転職を決意した。「培ってきた経験を生かし、地元のおいしいお酒や素晴らしい食材を、様々な地域から来られる方に広めたい」と意気込む。
総支配人の抱負
開業初日を迎え、ホテル総支配人の練生川裕一さんは「県内の方に多く来ていただいたのは期待の表れ。県内や地元の方に誇りを持ってもらえるホテルを目指したい」と語った。



