東京都千代田区に位置する千鳥ケ淵は、春の桜の名所として広く知られています。しかし、その魅力は桜の季節だけに留まりません。緑豊かな水辺は、四季折々の表情を見せる都心のオアシスとして、訪れる人々を和ませています。
千鳥ケ淵緑道とボート場
東京メトロ九段下駅を出ると、すぐに目に入るのがお堀です。木々の間から望むと、そびえ立つ高層ビルを背景に、緑を映した水面が広がります。ここが江戸城を囲む内堀の一部、千鳥ケ淵です。お堀に沿って続く千鳥ケ淵緑道は桜並木となっており、春には多くの花見客で賑わう都内有数のスポットです。
ジョギングをする人々に交じって南へ約10分歩くと、千鳥ケ淵ボート場に到着します。サイクルボートを選び、水面へと漕ぎ出しました。想像以上に広い堀の中を進むと、見事に積み上げられた城の石垣が間近に見えます。鳥のさえずりが聞こえ、木の葉を揺らす風が心地よく吹き抜けていきます。
千鳥ケ淵戦没者墓苑
ボート場に隣接する千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れました。ここは身元が不明な戦没者の遺骨を納める墓苑で、近くの靖国神社とともに、閣僚の献花などがニュースになることも多い場所です。ケヤキやクスノキに囲まれるように、陶棺を収めた六角堂が厳かに佇んでいます。遺骨収集の報告展示がある休憩所の出入り口付近では、シランの花が咲いていました。その花言葉は「あなたを忘れない」。世界で続く戦争を思いながら、平和を祈りました。
九段ハウスと江戸前天ぷら
早稲田通りを北に進み、旧山口萬吉邸「九段ハウス」を横目に飯田橋駅方面へ向かいます。この建物は1927年に完成し、戦中戦後を乗り越えてスパニッシュ様式の当時の姿を今に残しています。
ランチには江戸前天ぷらの店「一心金子」を選びました。専門職人を紹介する「一心会」を母体とするこの店では、支配人の金子将之さんが「子ども時代から和食に親しんでほしい」と語り、家族連れも多く訪れます。注文した穴子天重(1600円)は、さっくりと揚がった穴子とエビ、野菜の天ぷらが豪快に盛られています。秘伝の丼つゆとの相性が抜群で、箸が止まりません。追加した卵の天ぷらを割ると、黄身がとろりと流れ出し、ご飯に絡んで至福のひとときを味わいました。
なお、千鳥ケ淵ボート場は月曜日が定休日です。



