香川県立アリーナ開業1年で来館者60万人突破 経済波及効果拡大へ夜型観光も推進
香川県立アリーナ開業1年で来館者60万人突破 経済効果拡大 (05.03.2026)

香川県立アリーナ開業1年で来館者60万人突破 地域経済に好影響

香川県立アリーナ(通称:あなぶきアリーナ香川)が、昨年2月24日のオープンから1周年を迎え、来館者数が60万人を突破した。中四国地域最大級の収容人数1万人を誇るこの施設は、著名アーティストのコンサートからファッションショー、教育関連イベントまで多彩な催しを開催し、新たなにぎわい創出の拠点として確固たる地位を築きつつある。

建築的評価も高くユネスコ賞を受賞

世界的に著名な建築家ユニットSANAA(サナア)の妹島和世氏と西沢立衛氏が設計を手がけた県立アリーナは、その建築的価値も高く評価されている。「美しい瀬戸内海と街並みをつなぐ空間の創出」を目指した設計が評価され、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の「ベルサイユ賞」スポーツ部門で最優秀賞に輝いた。これは国内の施設としては初めての快挙である。受賞記念イベントでは、設計者から「さらに多くの人に親しまれるよう願っている」とのメッセージが寄せられた。

鉄道利用が増加し周辺商業施設にも波及効果

JR高松駅や高松琴平電気鉄道の高松築港駅に近い立地を活かし、大規模イベント時には専用駐車場が設けられていないことから、公共交通機関の利用促進にもつながっている。具体的な効果としては以下の点が挙げられる。

  • JR四国の試算によれば、大規模イベントによる鉄道利用者は計約7万人に上り、運輸収入は約1億円の増収となった。
  • 高松駅ビル「高松オルネ」の来館者数は、開業1年目の同時期を19%上回る約834万人を記録した。
  • 高松琴平電気鉄道では、輸送人員が前年同期比8.7%増加し、高松築港駅の乗降人員も12.6%増となった。

高松丸亀町商店街では、人気アーティストのライブ開催時に通行者数が10~20%増加するなど、商業活動への好影響も確認されている。商店街担当者は「まだまだ伸びしろがある」と期待を寄せている。

周辺自治体もホテル整備などで需要取り込みを計画

経済波及効果は高松市周辺の自治体にも広がっている。例えば坂出市では、アリーナ来館者の利用を見込み、JR坂出駅近くにホテルや立体駐車場の整備計画を進めている。浦田俊一副市長は「快速マリンライナーで1駅15分という利便性をアピールし、宿泊需要の取り込みにつなげたい」と語り、地域全体での連携強化を図っている。

夜型観光の充実で付加価値創出を目指す

県は、穴吹エンタープライズを代表企業とする共同事業体と7年1か月間にわたる指定管理契約を締結しており、年間約1億4000万円の支出が続く。このため、アリーナによる付加価値の創出が重要な課題となっている。

そこで県は「夜型観光」の充実を狙い、全長230メートルの屋根を活用したプロジェクションマッピングを実施。バレンタインなどをテーマに3回にわたり総額2億円超を投じ、それぞれ9~15分のオリジナル映像を投影した。この取り組みでは9日間で延べ約12万1000人が訪れ、県担当者は「消費額の大きい県外客らにも積極的にアピールし、経済波及効果をさらに大きくしたい」と意気込んでいる。

蔵下泰豊館長は2年目に向けた抱負として、「来館者がより広いエリアへ、より多い日数滞在してもらえるよう工夫を重ね、まちのにぎわい創出につなげたい」と語った。香川県立アリーナは、単なるイベント施設を超え、地域経済活性化の核としての役割を強めている。