名古屋城天守の木造復元事業におけるバリアフリー対応として、市が導入を計画している小型昇降機について、広沢一郎市長は20日、記者団に対し「物理的には最上階の5階まで設置可能だ」との見解を示した。しかし、設置に伴う建物強度への影響や歴史的価値の維持など、多くの検討課題があるとして、設置階の方向性を今月中に示す予定だった日程を見直すことを正式に表明した。
小型昇降機の導入経緯と現状
市はこれまで、障害者団体が参加する会合で設置階の素案を示し、来年2月ごろにバリアフリー方針をまとめる予定としていた。広沢市長は「もう少し議論を重ね、情報を集める必要があると判断した」と説明。本年度内に方針をまとめる姿勢は維持する一方、来年度以降に持ち越す可能性も否定しなかった。
検討課題と今後のスケジュール
具体的な検討課題として、市長は昇降機設置後に城の歴史的価値を体感できる空間となるかどうか、緊急時に歩行困難な人が安全に避難できるかなどを挙げた。今月中に予定されている会合では、現在の検討状況を説明するとしている。
バリアフリー対応の経緯
事業のバリアフリー対応を巡っては、市は可能な限り上層階まで上がれる昇降技術を公募し、2022年12月に三菱重工業の子会社が開発する船舶向け昇降機の提案を採用。2023年3月に示した整備基本計画案では、地階から1階に小型昇降機を取り付ける方針を示した。しかし、同年6月の市民討論会で上層階への導入を求めた障害者に対し、参加者が「ずうずうしい」などと発言し、制止しなかった市側の姿勢も問題となり、事業は事実上中断を余儀なくされた。
昇降機開発の進捗
一方で昇降機の開発は進み、今年3月には6人乗りの試作機が完成。現在は第三者機関による認証を受ける準備を進めている。市は今後、さらなるシミュレーションを重ね、設置階の決定を目指す方針だ。



