愛知県豊橋市が進める多目的屋内施設(新アリーナ)計画を巡り、市は1日、計画中断で発生した追加費用約2億6千万円と、工事遅延に伴う追加の債務負担行為約37億9千万円を盛り込んだ2026年度一般会計補正予算案を、市議会6月定例会に提出すると発表した。追加負担分は合計約40億円に上り、当初の事業費約230億円の約2割に相当する。8日開会の同定例会では、計画を一時中断した長坂尚登市長の責任や、追加負担の妥当性を巡り議論が紛糾する見通しだ。
追加負担の内訳
市多目的エリア整備室の北村充室長が1日の記者会見で明らかにしたところによると、追加費用約2億6千万円の内訳は、工事中断中に発生した現場事務所の維持費や人件費などである。一方、事業費増加分に相当する債務負担行為約37億9千万円の内訳は、計画中断による工事遅延で生じた資材価格や人件費の上昇、さらに事業者が下請け企業に支払う費用の増加分などが含まれる。ただし、長坂市長就任前の物価上昇分など、工事中断と直接関係ない追加分も一部含まれている。
追加負担額は、2026年1月から2月にかけて事業者から市側に提示され、市が委託した外部コンサルティング会社が検証した結果、妥当な金額と判断された。市は5月に事業者と追加負担に関する合意書を締結しており、今後市議会の議決を経て正式に契約する予定だ。追加負担のうち約28億4千万円は市債で賄われる。
計画の経緯
新アリーナ計画を巡っては、浅井由崇前市長時代の2024年9月に、整備や管理運営で約230億円の事業契約が民間事業者と結ばれた。しかし、同年11月の市長選で計画反対を公約に掲げた長坂尚登市長が初当選し、工事が中断された。その後、2025年7月の住民投票で計画継続賛成が多数を占めたことを受け、同年10月に約1年ぶりに工事が再開。完成予定は当初から2年遅れの2029年7月となった。
市議会の反応
追加負担額が示されたことで、市議からは市長の責任を改めて問う声が上がっている。計画に賛成する最大会派・自民党市議団の本多洋之政調会長は「想定の中では一番大きな額。団内での協議を通じ、今後の動きを決めたい」とコメント。ある自民党市議は「計画中断がなければ、これほど多額の追加負担は必要なかった」として、市長の政治責任を追及する考えを示した。
一方、計画反対派の共産党市議団の斎藤啓団長は「物価や人件費が上がっている状況で、こうした事業が果たして市民のためにどうなのか問われる」と、計画の妥当性に改めて疑問を呈した。
長坂市長は「住民投票の結果を尊重し、引き続き丁寧に本事業を進めてまいります」とコメントしている。



