名古屋の玄関口であるJR名古屋駅が2026年5月、開業から140年を迎えた。現在の駅舎は4代目で、名駅周辺の高層ビル群の中心に位置する。中部地方の交通の要衝として発展を遂げてきた同駅周辺では、リニア中央新幹線の開業に向けた再開発が着々と進んでいる。
開業から現在まで
名古屋駅は1886年5月1日、「名護屋」の駅名で現在地より南の笹島地区に開業した。これは東海道線の建設資材を運ぶために開通した県内初の鉄道・武豊線の開業からわずか2か月後のことであった。文明開化の時代、湿地帯に建てられた木造平屋の同駅は「笹島ステンション」とも呼ばれた。初代駅舎は1891年の濃尾地震で倒壊。その後、2代目駅舎が手狭になったため、名古屋で博覧会が開催された1937年に現在地へ移転した。地上5階(一部6階)、地下1階の重厚な3代目駅舎は「東洋一」の規模と称され、名古屋大空襲からの復興を経て、半世紀以上にわたって市民に親しまれた。超高層ビルがそびえる現在の駅舎は1999年にオープン。1日平均乗降客数は約44万2000人(2025年度)に達し、外国人観光客も増加している。
鉄道ライターが語る駅の思い出
名古屋駅近くで生まれ育った交通ライターの徳田耕一さん(73)にとって、駅周辺は遊び場だった。土手から列車に手を振ると応えてくれる機関士も多く、それがきっかけで鉄道ファンになった。小学生から列車の写真を本格的に撮り始め、駅構内の銭湯で乗客らとの会話を楽しんだ。1964年に東海道新幹線が開業すると、親戚にせがんで乗せてもらったという。徳田さんは「悠久の歴史を持つすごく親しみのある駅。昔の駅舎の記憶がよみがえってくる」と語る。彼は名古屋駅の今昔をつづった著書「大名古屋の鉄道140年のあゆみ」(交通新聞社)を2026年3月に出版し、撮りためた写真も多く盛り込んだ。
リニア開業への期待
同駅地下ではリニア中央新幹線の駅工事が進む。徳田さんは「リニア開業で名古屋が暫定的な終点になれば、さらに駅に人が集まる。140年を節目に躍進する新しい22世紀の名古屋駅になってほしい」と期待を寄せる。
開業140周年記念イベント
開業140周年を記念し、JR東海は歴史を紹介するパネルを構内に展示し、駅ゆかりの鉄道用品のオークション販売を実施した。JR東海リテイリング・プラスは、駅舎や駅を出入りした往年の名列車のグッズを製作。3代目の駅舎をアクリルスタンドにし、シンボルだった正面壁面の大時計も再現した。列車と駅名標のクリアファイルやキーホルダーは売り切れるほどの好評を博した。
グッズ製作を担当した山田雄大さん(40)と人事部担当部長の服部幸司さん(41)は、往時の写真や社史などを丹念にたどり、細部まで当時に似せた。2人は「記憶の中にある駅や車両に思いをはせ、今と昔を比べるなどして楽しんでほしい」と話す。グッズは同社公式ECサイトで販売中である。



