欧州から帰国する度に味わう蒲郡の「ふつうのハンバーグ」、元プロサッカー選手・加藤康弘さんの故郷愛
愛知県蒲郡市で観光大使を務める元プロサッカー選手、加藤康弘さん(39)は、幼い頃から家族で訪れていた喫茶・洋食店「キャロットハウス」の「ふつうのハンバーグ」をこよなく愛している。欧州でのプレー時代、帰国の度に通い続けたこの料理は、単なるグルメを超えた特別な存在だ。
「別のジャンル」と断言するハンバーグへのこだわり
「フォークで口に入れた時のシャキシャキっとした食感がたまらないんです」と加藤さんは語る。国産豚と和牛の合い挽き肉を使用した平らなハンバーグからは、ジュワッと肉汁があふれ出し、デミグラスソースが絡みつく。メニューは豊富だが、加藤さんはこの「ふつうのハンバーグ」しか注文しない。
「かんだ時のタマネギのしゃきしゃき感が最高で、付け合わせのニンジンとのバランスも抜群。このハンバーグは他のハンバーグとは別のジャンルなんです」と、細かい解説が止まらない。
店主の中村和義さん(75)は、今年でオープン40年を迎えるが、味は一切変えていない。「平らな形は火を通りやすくし、注文してからすぐに出せるようにしています」と説明する。加藤さんの人生を見守るように、変わらぬ味を提供し続けている。
サッカー選手から福祉事業家へ、多様なキャリアの歩み
加藤さんは小学4年でサッカーを始め、浜松大学卒業後の2009年にAC長野パルセイロに入団。2010年からは海外に活躍の場を移し、タイ、ラトビア、ポーランド、スロベニアでプレー。日本人として初めてウクライナ1部リーグの選手にもなった。
引退後の2017年には、地元蒲郡市でサッカー教室「Leg」を運営開始。そこで発達障害のある子どもと接する機会を得たことをきっかけに福祉の勉強を始め、2022年には放課後等デイサービス事業を立ち上げた。現在は通常の小学生から高校生まで約10人を受け入れている。
37歳での現役復帰と子どもたちへのメッセージ
2024年、加藤さんは「37歳の自分が挑戦することで、子どもたちに諦めない気持ちを伝えたい」と現役復帰を決意。仕事を続けながら日本と往復を重ね、2025年にはポーランドで1試合に出場し、見事ゴールを決めて現役復帰を果たした。
一方で、Legの子どもたちをこれまで4回にわたりポーランドに連れて行き、現地の人々との交流を促進。今年は中学2年生4人をラトビアに派遣し、1部プロサッカーチームでの1週間の練習参加を実現させた。
「自分は周囲の環境や縁に恵まれ、プロサッカー選手という夢を叶えられました。しかし蒲郡など地方の子どもたちは、都会の子に比べて選択肢が限られがちです。海外の世界を見せ、国際感覚を身につける機会を作りたかった」と加藤さんは語る。
蒲郡の未来を「わくわくする世界」に変える使命
現在、加藤さんは子どもたちが自分自身の道を選び、未来を切り開く手助けをしたいと願っている。「蒲郡の若者が故郷に戻った時、わくわくする世界が待っているようにするのが私の仕事ですね」と、先を見据えた展望を明かす。
キャロットハウスは午前7時から午後2時まで営業(ラストオーダーは午後1時半)。火曜日が定休日で、蒲郡市旭町9-17に位置する。連絡先は0533-67-6990。
加藤康弘さんの活動は、一皿のハンバーグに込められた故郷愛から、国際的な視野を持つ次世代の育成まで、多岐にわたっている。蒲郡という地元を拠点に、サッカーと福祉を通じて社会に貢献するその姿は、多くの人々に感動と勇気を与え続けている。



