ウクライナ避難の26歳が名古屋で平和の絵本制作 故郷の日常を描き継ぐ
ロシアによるウクライナ侵略の影響で、首都キーウ近郊から名古屋市に避難したウェブデザイナー、エリザベータ・コロトコバさん(26)が、平和の尊さを伝える絵本の制作に全力を注いでいる。侵略前の穏やかな日常を得意な絵で表現し、「ウクライナの現状を知り、関心を持ってほしい」と切実に願っている。
故郷を離れ、日本で新たな生活を築く
コロトコバさんの故郷はウクライナ東部のドネツク州である。2014年には親露派武装集団とウクライナ軍の紛争が勃発し、一家はキーウ近郊に移住を余儀なくされた。さらに2022年2月に始まった今回の侵略では、自宅のある集合住宅が砲撃を受けるという危機的状況に直面した。翌月、友人を頼って単身で来日し、猛勉強を重ねて日本語を習得。2024年7月には名古屋市の会社に就職し、デザイン業務を担当している。
平和の尊さを絵本に託す
絵本のテーマは一貫して「平和」である。歌声や笑顔があふれ、家族や友人と食事を楽しむ「何げない毎日が続く平和の尊さ」を中心に描く。イベントで出会った小学校教諭の青山英孝さん(56)との協力により出版が決定し、今年の夏の発行を目指して準備が進められている。
絵本では、ウクライナの国花であるヒマワリや、平和の象徴とされる「コウノトリ」などの動物を優しいタッチで表現。郷土料理や民族衣装も詳細に描き、伝統文化を広く伝える工夫が凝らされている。日本語と母国語を併記することで、避難民を含む多様な読者がアクセスできるように配慮され、オリジナルの歌も創作されている。印刷費などはクラウドファンディングで募る計画だ。
侵略前の平和な生活を未来へ
コロトコバさんは「ウクライナは食べ物がおいしいし、景色もきれい。素敵なところがいっぱいあるよ」と語る。終わりの見えない侵略が続く中、侵略前にあった平和な生活を絵本に描き残すことで、希望を紡ぎ出そうとしている。この取り組みは、個人の体験を超え、国際社会へのメッセージとしても重要な意味を持つ。
名古屋での新生活を基盤に、彼女は創作活動を通じてウクライナの文化や現状を発信し続ける。絵本が完成すれば、多くの人々に平和の大切さを考えるきっかけを提供することになるだろう。



