奈良文化財研究所(奈文研)は10日、文化財保護の分野で深刻化する担い手不足や予算減少といった課題に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するプロジェクトチームを立ち上げたと発表した。同研究所は、発掘調査方法の見直しや3Dモデルを活用した遺跡の管理・活用など、新たな取り組みを通じて文化財保護の将来像を模索する。
プロジェクトチームの概要
このプロジェクトチームは、昨年10月に既存の部局を超えた横断的な組織として発足し、このほど本格的に始動した。チームは、文化財保護の現場で顕在化する人材不足や予算縮小といった課題に対し、DX技術を活用した効率化と新たな価値創造を目指す。
具体的な取り組み
主な取り組みとして、以下の3点を挙げている。
- 発掘調査のデジタル化:従来の手作業による記録や分析を、デジタル技術で効率化し、調査期間の短縮と精度向上を図る。
- 3Dモデルの活用:遺跡や出土品の3Dモデルを作成し、遠隔地からの研究や一般公開に活用することで、文化財の新たな価値を創出する。
- 管理システムの刷新:遺跡や文化財のデータベースを統合し、一元管理することで、保全や活用の効率を高める。
奈文研の役割と背景
奈文研は1952年に設立され、平城宮跡や藤原宮跡などの調査研究を長年にわたり担ってきた。しかし、近年は全国的に文化財保護分野の予算削減や専門職員の減少が顕著となり、従来の手法では持続可能な保護活動が困難になりつつある。こうした危機感から、奈文研はDX推進による抜本的な改革に乗り出した。
本中真所長は記者会見で、「デジタル技術の導入により、限られた人材でより多くの文化財を保護・活用できる体制を整えたい」と述べ、今後の方針に意欲を示した。



