アメリカの具象画家アンドリュー・ワイエス(1917~2009年)の没後、日本で初めて開催される回顧展「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」(東京新聞など主催)が28日、東京・上野の東京都美術館で開幕する。27日には報道内覧会が行われ、約100点の展示作品が公開された。
展示内容と見どころ
ワイエスは、故郷である米ペンシルベニア州と、夏を過ごしたメーン州の風景を一貫して描き続けた画家だ。本展では、光と影などで表現された「境界」をキーワードに、作品を5つの章に分けて紹介する。彼は9歳から水彩を始め、その後、卵黄と水、自然の顔料を混ぜるテンペラ技法を主に用いた。会場には、精緻な筆遣いで描かれた具象画が並び、その細密な描写が来場者の目を引く。
特に、人物を直接描かずに、家や風になびく洗濯物、身の回りの品々、自然の描写を通じて、そこに暮らす人の存在を感じさせる作品が印象的だ。例えば、窓辺に置かれた椅子や、風に揺れるカーテンなど、日常の一瞬を切り取ったような絵画が、見る者の想像力をかき立てる。
会期とアクセス
会期は7月5日まで。原則として月曜日は休室。観覧料は一般2300円、高校生と18歳以下は無料。詳細は東京都美術館の公式サイトで確認できる。
東京都美術館開館100周年
会期中の5月1日、日本初の公立美術館として開館した東京都美術館は、開館100周年を迎える。この記念すべき節目は、「石炭の神様」と呼ばれた実業家・佐藤慶太郎の多大な寄付により、1926年に「東京府美術館」として誕生したことに始まる。5月6日までの記念ウィークには、入り口に直径5メートルのアニバーサリー・ガーデンが設けられる。また、5月1日と2日には、中庭などで自由に聴ける約10分の無料トロンボーンコンサート「とおくのファンファーレ」が開催予定。詳細は開館100周年記念特設サイトで案内されている。
本展は、ワイエスの芸術世界を深く堪能できる貴重な機会であり、同時に東京都美術館の100年の歴史を感じる絶好の場となるだろう。



