ホワイトシェパード・ばむの最期の散歩、思い出の緑地へ向かう心温まる物語
ばむの最期の散歩、思い出の緑地へ向かう物語

ホワイトシェパード・ばむの最期の散歩、思い出の緑地へ

ばむは、売れ残りのホワイトシェパードとして、縁あって飼い主の家庭に迎え入れられた犬だ。大きな体に似合わず、ノミの心臓のように繊細で、散歩は常に怖がりだった。しかし、ハスキー犬のお兄ちゃんが一緒なら、どこまでも歩く勇気を見せた。時が経つにつれ、お兄ちゃんが亡くなると、ばむは遠出を嫌がるようになり、さらに自身も老いて体調を崩すと、近所をゆっくりと歩くだけの日々が続いた。

冬の日の珍しい行動

ある冬の日、ばむは珍しく散歩から帰るのを渋り、飼い主を驚かせた。後をついて行くと、足を止めたのは高台に続く細い階段だった。この階段の先には、めったに人が訪れない緑地がある。そこは、お兄ちゃんと走り回って遊んだ思い出の場所で、春には鶯の声が響き、咲き乱れる桜のトンネルを駆け抜けた特別な場所だ。

緑地へ行くには、長く急な階段を上らなければならない。ばむは痩せてはいるが大型犬であり、途中で動けなくなったらどうしようと、飼い主はためらった。しかし、ばむはそんな心配をよそに、一歩一歩、階段を上り始めた。休み休み、なんとかたどり着いた緑地は、鳥の声もなく、落ち葉が乾いた音を立てるだけの静かな場所だった。

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最期の散歩と春の訪れ

それでも、ばむはひとしきり歩くと、満足したのか家路に就いた。その4日後、ばむはいつものように寝床に入り、そのまま目覚めることはなかった。季節は巡り、春が来ると、緑地の桜は満開となり、鶯の声も響き渡っている。飼い主はベンチに座り、目を閉じて、まぶたに駆け回る2匹の姿を見る。「ばむよ、お兄ちゃんに会えたか?」と心の中で問いかける。

この物語は、杉山里奈(55)が愛媛県今治市で経験した、犬との深い絆と記憶を綴った文学的なエッセーだ。ばむの最期の散歩は、単なる日常の一コマではなく、命の尊さと愛の持続を感じさせる感動的な瞬間として、読者の心に残るだろう。

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