福岡県柳川市の北原白秋生家・記念館で、柳川出身の詩人・北原白秋の100年前の活動や生活の様子を紹介する企画展「心惹かれる百年前の白秋作品」が開かれている。当時41歳の白秋が作家としての名声を確立しながら、家族への愛情も作品に残していることがわかる。(柿本高志)
小田原時代の白秋
同館によると、白秋は1918年(大正7年)から約8年間、神奈川県小田原市で暮らした。21年には3番目の妻となる佐藤菊子と結婚し、翌年には長男が誕生。23年9月には関東大震災に襲われ、住宅は甚大な被害を被ったが、そのまま住み続け、精力的に活動を続けた。25年には長女が生まれた。
作品に込められた家族への思い
親しんだ小田原を離れ、東京に家族で移った26年(大正15年)は、作品が次々に刊行された。童謡集「二重虹」は、「小田原の山や海には美しい二重虹がよくたつ。長男隆太郎もその二重虹を見て育ったのである」と書くなど、父親としての優しいまなざしが感じられる。詩文集「風景は動く」は、童謡論、詩歌論、批評、自然観などが記され、小田原時代後半の心境の動きを示す記録となっている。
展示内容と見どころ
会場には童謡集や、短歌、随筆などを寄せた芸術雑誌、白秋夫妻と長男の写真、童謡集などに使われた挿絵など約20点が展示されている。高田杏子館長は「100年前の白秋は子どもにも恵まれ、安定した生活を送っていた。作品にも自身の生活や自然、子どもへの思いが込められている」と話した。
9月30日まで。問い合わせは同館(0944-72-6773)へ。



