道後温泉の老舗旅館所蔵の絵はがき、夏目漱石の自筆と判明 ルノワールらを水彩模写
道後温泉旅館所蔵の絵はがき、夏目漱石自筆と判明

道後温泉の老舗旅館が所蔵する絵はがき、夏目漱石の自筆と判明

松山市の道後温泉にある老舗旅館「大和屋別荘」が所蔵する絵はがき7点が、文豪・夏目漱石(1867~1916年)の自筆によるものであることが確認された。旅館などが10日、発表した。これらの絵はがきは、フランス印象派の画家ルノワールらの作品を水彩で模写したもので、漱石が自身の教え子に送ったものだ。書簡や論文を収めた全集には未収録であり、専門家は「文豪が絵画表現にも意識を向けていたことを示す貴重な資料」と評価している。

模写された作品とその背景

確認された7点はすべて官製はがきで、ルノワールの「春の花束」「モンマルトルのコルトー街の庭」など6点と、モネの「ボルディゲーラ」の模写1点が含まれる。旅館の創業者が数十年前に購入し、館内に飾っていたものだ。漱石研究者である早稲田大学名誉教授の中島国彦氏と秀明大学客員教授の長島裕子氏が、漱石の自筆であると確認した。

宛名は、漱石が高校の英語教師をしていた時の教え子である橋口貢とその弟の清。差出人欄には漱石の本名「夏目金之助」「夏目金」と記されている。消印は1905年と1906年の日付で、漱石が東京大学の講師などを務めながら「吾輩は猫である」を雑誌に連載していた時期と重なる。

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専門家の見解

漱石の自筆絵はがきは、これまでに「自画像」「裸婦像」など約60点が確認されている。今回発見された7点は、漱石が初期の小説を執筆していた時期の作品であり、長島客員教授は「小説を書き続ける生活の中で絵も描き、新たな創作に向かうための力を得ていたのではないか」と述べている。この発見は、漱石の創作活動における多面的な才能を明らかにするものとして注目されている。

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