松山市の道後温泉にある老舗旅館「大和屋別荘」に飾られていた絵はがき7点が、明治時代の文豪・夏目漱石の自筆であることが確認された。早稲田大学名誉教授の中島国彦氏らが10日に発表した。
フランス印象派の模写
これらの絵はがきは、ルノワールやモネなどフランス印象派の画家の作品を水彩絵の具で模写したもの。漱石が代表作「吾輩は猫である」を連載していた1905年から1906年ごろの作品とみられる。
創作エネルギーの発露
調査を行った秀明大学の客員教授、長島裕子氏は「漱石にとって絵はがきは創作エネルギーの発出先だった。小説に集中する前に絵に力を入れることで、創作活動に向かう力を得ていたのではないか」と分析している。
宛先と内容
絵はがきの宛先は、漱石の旧制第五高等学校時代の教え子で外交官だった橋口貢と、その弟で漱石の本の装丁を手がけた画家・五葉。ルノワールの「春の花束」やモネの「ボルディゲーラ」などを模写している。
学術的価値
これらの絵はがきはいずれも「漱石全集」に未収録で、中島名誉教授は「この時期の自筆絵はがきで発見されたものは少なく、珍しい。感性や美意識を考えるよすがになる」とその重要性を強調している。



