瀬戸大橋の展望から見える小さな島、本島への旅路
瀬戸大橋の中間地点から眼下に広がる風景の中に、ひっそりと佇む小さな島があります。それが本島(ほんじま)です。児島港から高速艇で約30分の船旅を経て辿り着く、痛みを伴うほどに思い出深い孤島です。昨年の秋、私はこの島に3度目の訪問を果たしました。
中学時代の臨海学校での苦い経験
最初の訪問は中学時代の臨海学校でのことでした。悪戯盛りの少年たちと共に海水浴を楽しみ、鍛錬と遊びが入り混じった日々を過ごしました。ある日、先生が漕ぐ伝馬船から飛び降りた際、砂地ではなく、オコゼの針の上に着地してしまったのです。激しい痛みとしびれが走り、吐き気とめまいに襲われました。片足は見る間に腫れ上がり、自転車を漕ぐ先生の背中にしがみつきながら、丘の中腹にある島の診療所へと急ぎました。
針を抜いてくれた若い先生の治療の詳細は記憶にありませんが、夕食を食べ損ねたことだけが鮮明に残っています。あの時の激痛は、25年前の2度目の訪問時にも頭をよぎり、診療所の前を急ぎ足で通過する原因となりました。
67年後の再訪で蘇る懐かしさ
あの事故から67年が経過し、3度目の旅を迎えました。年齢を重ねたせいか、痛みの記憶は薄れ、代わりに懐かしさが胸に湧き上がってきました。新しい診療所のドアを開け、看護師さんにたどたどしく当時の経緯を話しました。すると、女医さんも顔を出し、私の「あの時のお礼に来ました!」という言葉に、二人の不審そうな表情が笑顔へと変わりました。
ほんの小さな縁とゆかりが、三人の顔をほころばせ、診療所の空気を少しだけ明るくしてくれたのです。この春には4度目の旅を計画し、この「朝晴れエッセー」を届けたいと考えています。福森芳郎(81歳)岡山市北区より。



