「文人大名」増山雪斎が漫画に転生!三重県立美術館が伝記刊行で魅力と功績を紹介
「文人大名」増山雪斎が漫画に転生!三重県立美術館が伝記刊行

長島藩(現・桑名市長島町)の5代目藩主、増山雪斎(ましやませっさい、1754~1819年)。学問や文化を重視し、自ら描いた細密な花鳥画で芸術家としても名を残した人物だ。三重県立美術館(津市)は、県誕生150周年記念事業の一環として、その生涯を伝記漫画として刊行した。「文人大名」の功績と人間的な魅力が浮かび上がる内容となっている。

雪斎の生涯と功績

雪斎は23歳で父の後を継ぎ、藩主となった。洪水などの影響で作物の栽培量が安定せず、藩の財政難に直面したが、自ら大坂城の警備に尽力して立て直しを図った。その一方で、幼い頃から絵や書に親しみ、動植物や昆虫を精緻な筆致で描く花鳥画に取り組んだ。

漫画の中では、雪斎の性格が「素直」「天真らんまん」と表現されている。象徴的なエピソードとして、工作で権力の失墜から逃れようとした元老中・水野忠友に舌を出してあざ笑った一幕や、親友で大坂の町人学者・木村蒹葭堂(けんかどう)が幕府から不当な罪に問われた際に、領内でかくまったことが取り上げられている。

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また、藩校「文礼館」を設立し、お抱えの絵師の留学を仲介するなど、教養を重視した藩政にも着目。ひたすらデッサンに励み、「生物学者のよう」と呼ばれる観察眼を手にした背景についても掘り下げている。

世界的な注目度の高まり

日本では雪斎の功績がそれほど知られていないが、県立美術館の学芸員・村上敬さんによると、米国の美術関係者が関心を示し、世界的な注目度が上がっている。2022年に東京で開かれたボストン美術館展では、雪斎の「孔雀図」が里帰り公開され、展示のキービジュアルにも据えられた。村上さんは「信じられないこと」としつつ、評価の高まりは「喜ばしい」と話す。

漫画制作のきっかけ

漫画は村上さんが企画・編集を担当。約2年前の「ある大学生との出会い」が契機だったという。学生は長島町出身だったが、雪斎の存在を知らなかった。しかし、美術館に展示されていた雪斎の孔雀図を見ると、目を輝かせた。羽の模様1本1本にまで神経を張り巡らせた筆致に「すごい」と感銘を受けた様子だった。村上さんは「地元に、魅力を知らずにいる人がたくさんいるはず」と考えるようになった。

漫画のあらすじは村上さんが考え、史料を収集。地域の歴史漫画を数多く手がけてきた愛知県西尾市出身の漫画家、すずき孔さんに執筆を依頼した。すずきさんは史料をベースに、洗練された表現で物語を仕上げた。村上さんは「雪斎の作品の『何がすごいのか』という価値観が継承されれば」と期待を込める。

展示会と漫画配布

同館で開催中の「新収蔵品展 増山雪斎」では、作品26点が並ぶ。6月28日まで。観覧料は大人310円、学生210円、高校生以下無料。漫画は高校生以下の来場者先着2千人に無料配布中。なくなり次第終了。ミュージアムショップでも330円で販売している。

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