歌舞伎俳優の尾上左近が、歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」において三代目尾上辰之助を襲名する。初代は祖父、二代目は父である現・松緑が務めた「若く勢いのある名前」として知られる。女形としても活躍する20歳の若者は、家の芸を引き継ぎながら、新たな辰之助像を模索している。
立役と女形を兼ねる役者として
父・松緑は、立役と女形を兼ねる役者について語る。3月の歌舞伎座では、「音羽屋」「紀尾井町」と混じって「左近」とのかけ声も飛んだ。「ああ、左近は終わるんだ、と感慨深くなった」と振り返る。ただ、「左近」としてやり残したことは「ない」と言い切り、「辰之助の名で役者ができるうれしさが本当に強い」と語る。
祖父への思いと継承
祖父の初代「辰之助」は、四代目尾上菊之助(七代目尾上菊五郎)、六代目市川新之助(十二代目市川團十郎)とともに「三之助」と呼ばれ、若手ホープとしてブームを巻き起こした。しかし病に倒れ、1987年に40歳で亡くなった。伝説的存在である祖父が演じた役は「すべてやりたい」と意気込む。祖父や父が演じたシェークスピア劇も「勉強していきたい」という。
二代目の父の活躍
二代目の父も若くから活躍し、四代目松緑として現在の歌舞伎界をけん引している。尾上左近は、その伝統を受け継ぎながらも、自身の個性を加えた新たな辰之助像を追求する。立役と女形の二刀流で「人生2回分」の芸道を目指すという。



