野球部OBの遺志が紡ぐ「大空との約束」、創成館高校の全校応援文化を象徴
学校法人奥田学園の理事長であり、創成館高校の校長を務める奥田修史さんの理事長室には、若き野球部OBの遺影が飾られています。それは2017年に20歳で亡くなった末松大空さん。彼の存在は、同校で根付く「誰かが何かを頑張る時、みんなで応援する」という全校応援の文化を象徴する一人として、今も記憶に刻まれています。
甲子園での活躍と全校応援の絆
創成館高校は部活動の振興に力を入れており、2008年に社会人野球で活躍した稙田龍生監督を招請しました。その結果、2013年春の選抜に初出場を果たし、春夏合わせて甲子園に9回出場する強豪校へと成長。県内外から多くの球児が集まるようになりました。
末松さんは北九州市の親元を離れ、寮生活を送りながら白球を追いかけました。2014年、2年生の終わり頃、前年に続く選抜出場の吉報を野球部に伝えた奥田さんの目に、うれし涙を流す末松さんの姿がとまりました。当時レギュラーを外れていたにもかかわらず、彼は「仲間のために素直に喜べる、素晴らしい人間だ」と奥田さんに強く印象づけたのです。
闘病を支えた「大空バージョン」の応援
野球を続けようと大学に進学した末松さんですが、「急性骨髄性白血病」と診断されました。地元の北九州で闘病する彼を励まそうと、奥田さんは全校生徒に呼びかけ、吹奏楽に合わせてメガホンを振る「大空バージョン」の応援DVDを作成し、末松さんに贈りました。
病室で一緒にDVDを見た母・真奈美さんは、「『創成、大好きなんよ』、『卒業しとるのに』と、普段は親の前で涙を見せない大空がわんわん泣いていた」と振り返ります。治療でつらい時にはこの動画を見返し、「頑張ろうかね」と心のよりどころにしていたそうです。母校を応援するために、真夏の甲子園にも駆けつけた末松さんは、最期まで創成館を愛し、天国へと旅立ちました。
遺影が語る継承される精神
夏の甲子園では、末松さんの遺影を抱えながら試合を見守る奥田さんの姿が印象的です。この光景は、単なる追悼を超え、末松さんが体現した「全校応援」の精神が、今も学校全体に息づいている証と言えるでしょう。
奥田さんは、末松さんの存在を「頑張る誰かをみんなで応援する文化の象徴」と語ります。遺影は、過去の悲劇を思い起こさせるだけでなく、未来に向けて絆と希望を紡ぐ「大空との約束」として、創成館高校の礎となっているのです。



