DH制元年の甲子園、6番起用が最多に 試合テンポ向上も指摘される新たな戦略
DH制元年の甲子園、6番起用最多 試合テンポ向上も

DH制元年の甲子園、新たな戦略と試合の変化

日本高校野球連盟は2026年度のシーズンから指名打者(DH)制を採用し、今回の第98回選抜大会はDH制採用後、初めての甲子園での試合となった。24日までに1回戦が終了し、出場32校すべてが登場した。ここまでの試合を振り返ると、各チームの特色や過去との違い、新制度による副産物が浮き彫りになっている。

DH起用の傾向と「大谷ルール」の適用

DHで選手を起用したのは、32校中26校に上った。このうち、八戸学院光星(青森)だけは、打力のあるエース北口晃大(3年)を、先発投手がDHを兼ねる通称「大谷ルール」で起用した。北口選手は「慣れないですね」と率直な感想を語り、新制度への適応過程を垣間見せた。

一方、DHを使わなかったのは6校。21世紀枠で出場した長崎西や高知農のほか、投手の打力が高い花巻東(岩手)や大垣日大(岐阜)などが該当する。高知農―日本文理(新潟)の試合では、両チームともDHを使わず、伝統的な戦略を堅持した。

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打順分析と活躍した選手たち

打順で見ると、DHは6番での起用が9校で最も多かった。次いで7番と8番がそれぞれ5校、4番が2校となった。1、3、5番での起用は1校ずつで、2番起用は一度もなかった。DHに先発出場した選手の平均打率は、1割6分5厘と、まだ初期段階での数字を示している。

活躍した選手も存在する。20日の長崎西との試合で2安打を放った滋賀学園・太田佑人(3年)や、23日の高川学園(山口)との試合で1打数1安打1打点を記録した英明(香川)の浜野銀次郎(3年)らの存在感が光った。浜野選手は守備が苦手でも打撃は得意というタイプで、DH制導入により出場機会を得た典型例と言える。

19日の阿南光(徳島)戦で、DHとして大会初安打を放った中京大中京(愛知)の川石大空(2年)は、「DHをつかむ争いも激しいので、出ることができてびっくり。出場機会が増えたのはすごくうれしい」と語り、新制度によるチャンス拡大を実感している。

投手への好影響と試合テンポの変化

DH制採用の大きな目的は、選手の出場機会確保にある。守備が苦手でも打撃に秀でた選手が試合に出られるようになり、戦略の幅が広がった。

さらに、投手への好影響を挙げる声も多い。花巻東(岩手)を完封で破った智弁学園(奈良)のエース杉本真滉(3年)は、「打席に立たない方が投球に集中でき、相手の攻略について捕手と話せる時間も多い」と述べた。21日の北照(北海道)戦で完封した専大松戸(千葉)のエース門倉昂大(3年)も、「打つ準備がなくなり、ずっと同じリズムで投げられたのがよかった」と、集中力の向上を強調した。

試合のテンポがよくなったと話す監督もいる。滋賀学園の山口達也監督は「ゲーム展開が非常に速い。(攻守交代で)投手がすぐベンチを飛び出していくので、相手の打者陣が立ち遅れている」と指摘する。大阪桐蔭の西谷浩一監督も24日の1回戦後、「投手の方は、投げる方に集中したり、そっちの方が攻撃の影響より大きいんじゃないですか」と振り返り、新制度による戦略的変化を認めた。

新時代の幕開けと今後の展望

DH制導入は、高校野球の戦略に新たな次元をもたらした。従来の「エースで4番」というロマンは残しつつも、投手の負担軽減や選手の出場機会拡大といった現実的なメリットが浮上している。各チームがDHをどのように活用し、戦略を練っていくかが、今後の大会の見どころとなるだろう。新制度元年の甲子園は、伝統と革新が交錯する歴史的な一幕を刻み始めている。

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