智弁学園、バッテリーの絆で決勝進出 杉本投手が角谷捕手のリードに全幅の信頼
高校野球の準決勝2試合が行われ、決勝の対戦カードは智弁学園(奈良)対大阪桐蔭(大阪)に決定した。智弁学園は中京大中京(愛知)に2-1で逆転勝利を収め、2016年の優勝以来となる決勝進出を果たした。10年ぶり2度目の栄冠を目指すことになる。決勝戦は3月31日に実施される予定だ。
杉本投手が完投勝利 角谷捕手のリードが鍵に
智弁学園が競り勝った試合の流れは、六回に馬場井選手が同点打を放ち、八回には4番逢坂選手の適時二塁打で勝ち越し点を挙げたというものだった。エースの杉本投手が完投し、チームを勝利に導いた。一方、中京大中京は終盤に守備が乱れ、逆転を許す結果となった。
智弁学園が誇る大会屈指の左腕、杉本投手の直球は序盤から中京大中京の打線に狙われ、三回までに被安打4本を許し、先制点も奪われた。しかし、捕手の角谷選手には焦りの色はなかった。半年前の近畿大会で優勝を逃した苦い経験が、冷静さを保たせたのだ。
昨秋の近畿大会では、杉本投手が決勝までの4試合で20回を投げて12失点と苦しんだ。「こんなに点を取られる投手ではない」というコーチの言葉に、角谷選手は深く考えずにリードしていたことを悔やんだ。コーチと試合映像を見返す中で、セオリーに基づいた配球ではなく、投手の状況に合わせることが重要だと気づいたのである。
教訓を生かした配球で逆転勝利
この教訓から、角谷選手は中京大中京の狙いを逆手に取った。カットボールなどの変化球を主体に配球を変え、ゴロや三振に仕留めることに成功した。「うまくかわすリードのおかげで最後まで投げ抜けた」と語る杉本投手は、終盤に再び直球で押し切り、九回の最後の打者には147キロを計測する速球で勝負した。
角谷選手は「杉本はすごい投手。生かせるかどうかは自分次第」と話し、コーチは「広い視野で状況に応じてリードできるようになった」と評価する。杉本投手も「首を振る必要がないくらい信用している」とバッテリー間の信頼関係を強調した。扇の要となる捕手が、文字通りの役割を果たした瞬間だった。
中京大中京は継投策が崩れる
一方、中京大中京は必勝の継投策が崩れた。1点リードの六回、走者を出しながらも踏ん張っていたエース安藤投手に代わり、太田投手がマウンドに上がった。1回戦から続けてきたパターンだったが、太田投手は「点を取られたら取り返せないと自分を追い込んでしまった」と振り返る。
強い覚悟が力みにつながり、四死球やバント処理の悪送球でピンチを招き、今大会初めての失点を許した。本調子を取り戻せず、八回には決勝点も奪われた。準々決勝まで好救援を見せてきただけに、太田投手は「勝ちきれなかった部分を見つめ直したい」と言葉を詰まらせた。
監督のコメント
智弁学園の小坂監督は「バッテリー中心に守り切り、チームの総合力が上がった。決勝は気力で向かっていきたい」と語り、中京大中京の高橋監督は「ミスが悔やまれる。守備での状況判断や技術を身につけていかないと勝てないと痛感した」と述べた。
決勝進出を決めた智弁学園の選手たちは、アルプス席へ駆け出し、喜びを爆発させた。高校野球の熱戦は、さらなる盛り上がりを見せている。



