生垣四段がデビュー戦で完封勝利 急所の△8七歩で福間女流五冠を封じる
生垣四段デビュー戦完封 福間女流五冠を封じる

生垣寛人四段、竜王戦デビュー戦で福間香奈女流五冠を完封

第39期竜王戦6組の一戦で、生垣寛人四段がプロデビュー戦を飾り、福間香奈女流五冠を破った。生垣四段は神戸市出身の22歳で、井上慶太九段門下。昨年10月に四段に昇段し、12月22日に関西将棋会館で初戦を迎えた。

緊張の対局開始と珍しい布陣

対局当日、小雨が降る中、福間女流五冠が先に入室。数分後、生垣四段が速足で現れ、上座に着いた。駒を並べ、振り駒の結果、福間の先手に決定。生垣四段はリュックとコートの扱いに一瞬逡巡する場面もあったが、すぐに気を静めて集中力を高めた。

「デビュー戦なので、特に勝ちたい気持ちがありました。先手番と後手番で違う作戦を立てており、対局開始前はその確認をしていました」と生垣四段は語る。

午前10時に対局開始。福間の中飛車に対し、生垣は居飛車で対抗。最近の主流である△7四歩~△7三銀を急ぐ指し方ではなく、△6四歩という珍しい一着を選択した。

いぶし銀の指し回しで優位を築く

対局が進むと、生垣四段は左右の銀を繰り出し、じわじわと押さえ込む指し回しを見せた。△7四銀は15年~20年前に流行した懐かしい作戦で、解説者の村山慈明八段は「コンパクトでスピーディーな『超速』とは似て非なる将棋という印象です。2枚の銀の力でじわじわと押さえ込み、有利を広げる、受け将棋の人向きかもしれません」と評した。

生垣四段は「奨励会員の頃からたまに指しており、指し慣れている戦法でした」と語り、懐かしい作戦を駆使した。

急所の一手で決定的な優位に

中盤以降、生垣四段は△4四銀で▲5七銀をけん制し、昼食休憩再開後の△8五歩でさらに優位を広げた。そして、急所の△8七歩が決め手となり、福間女流五冠のゴキゲン中飛車を完封。生垣四段のいぶし銀のような堅実な指し回しが光る勝利となった。

村山八段は両者の印象について、「生垣さんとは牧之原市竜巻被害の復興支援チャリティーイベントで共演しました。とにかく真面目で、誠実な印象を受けました。福間さんとは研究会をしているのですが、最近は棋風が変わったと思うことが多くなりました。もともとは無理攻めをせず、攻防のバランスが良い王道タイプでしたが、踏み込むべきところを逃さなくなりました」と語った。

今後の意欲と期待

生垣四段はデビュー戦の勝利を受け、「対抗形を極めたい」と今後の意欲を示した。この勝利で竜王戦における今後の活躍が期待される。

対局中、雨はやみ晴れ間がのぞくなど、天候も生垣四段のデビュー戦を祝福するかのような展開となった。今後も注目の若手棋士として、将棋界に新風を吹き込むことが期待されている。