広陵高校野球部元部員の暴行申告、第三者委「事実認定困難」と報告、学校対応に問題点指摘
広陵高校野球部元部員暴行申告、第三者委「認定困難」と報告

広陵高校野球部元部員の暴行申告、第三者委員会が調査結果を公表

広島市安佐南区にある広陵高校の硬式野球部元部員が、当時の監督や部員らから暴力や暴言を受けたと訴えた問題で、同校は2026年2月16日、第三者委員会による調査結果を正式に公表しました。第三者委は、元部員が申告した被害について、裏付ける証拠や証言が得られなかったとして、「事実を認めることは困難」との見解を示しました。

「全く存在しなかったと結論づけるものではない」と補足

第三者委員会は報告書の中で、「いずれの行為についても全く存在しなかったということまで結論づけるものではない」と補足説明を加えています。この表現は、証拠不足により公式に認定できないものの、可能性を完全に否定するものではないことを示唆しています。

同時に、第三者委は学校側の対応に複数の問題点があったと厳しく指摘しました。具体的には、元部員が名前を挙げた指導者への聞き取りが大幅に遅延したこと、そして今回の事案に限らず、野球部内で発生する問題が部内のみで処理される閉鎖的な傾向が強かったことを挙げています。

元部員の父親「結果には納得できず残念」

元部員の父親は報道陣の取材に対し、「第三者委員会や学校が一生懸命に聞き取りをしてくれたことには感謝しているが、結果については納得できず残念だ」と率直な思いを語りました。さらに、「野球部の閉鎖性を指摘したことについてはその通りだと思っている。ぜひ改めていってほしい」と訴えました。

これに対し、同校の担当者は「組織体制や野球部の運用を見直したい」と述べ、今後の改善に取り組む意向を示しています。

元部員の申告内容と調査の経緯

元部員は学校側に対し、2023年に1年生だった当時、寮内で数人の部員から下半身を触られるなどの行為を受けたこと、さらに監督やコーチ陣から暴言や暴力を受けたことなどを具体的に訴えていました。

当初、同校の関係者らへの聴取では事実を確認できませんでしたが、昨年6月に元部員側の要請を受けて、外部の弁護士ら5人で構成される第三者委員会が設置されました。第三者委は元部員と保護者に計5回の聞き取りを実施し、当時の監督、コーチ、部員ら計68人から直接話を聴いています。元部員による第三者委員会への被害申告は、合計88件にのぼったと報告されています。

県警の捜査も不送致処分に

また、元部員側は広島県警に対しても被害届を提出していました。県警は捜査を進めましたが、捜査関係者によると、検察に送致しない不送致処分としたことが明らかになりました。

別の暴行事案では家裁が審判不開始を決定

関連して、広陵高校硬式野球部では別の暴行事案も発生しています。日本高校野球連盟から昨年3月に厳重注意を受けた部員間の暴行事案で、暴行容疑で広島地検に書類送検された3年生の男子生徒2人について、広島家庭裁判所が2月13日付で審判不開始の決定を下しました。

一般的に少年事件では、本人が反省し再非行の恐れがないと判断された場合、審判を開かないことがあります。捜査関係者によると、2人の送検容疑は、昨年1月に寮内で禁止されているカップラーメンを食べたとして、当時1年生の下級生に暴行を加えたというものです。

同校は高野連に対して、この2人を含む上級生4人がほおや胸をたたくなどの行為を行ったと報告しており、この事案に関しても、再調査に向けた第三者委員会を設置している状況です。

これらの一連の事案は、強豪スポーツ部における閉鎖的な環境や、問題発生時の対応の在り方について、改めて社会全体で考えるきっかけを提供しています。学校側は今後、組織の透明性向上と部活動の適正な運営に取り組むことが求められています。