日本高校野球連盟は2026年5月30日、7イニング制の導入に向けた意見交換会を大阪市内で開催した。現役の高校野球監督やプロ野球の元監督、医師、法学者など様々な立場の参加者が集まり、活発な議論を展開した。
参加者と立場
意見交換会には、大坪慎一氏(佐賀・鳥栖工監督)、川井圭司氏(同志社大政策学部教授)、木田圭重氏(京都府立医科大整形外科講師)、栗山英樹氏(プロ野球日本ハム・チーフ・ベースボール・オフィサー)、谷口真由美氏(法学者)、西谷浩一氏(大阪桐蔭監督)の6氏が参加。進行役はスポーツキャスターの長島三奈氏が務めた。
反対意見と懸念
大阪桐蔭の西谷監督は、7イニング制に反対の立場を明確にした。熱中症対策は十分に行われているとし、選手の成長に必要な出場機会として2イニングの重要性を強調。「日本高野連のアンケートで加盟校の7割が反対している。正直、不信感を持っている。進め方は非常に残念。各都道府県でもっと議論し、意見を吸い上げてほしい」と述べた。
鳥栖工の大坪監督は、「9イニング制でも5年後、10年後はおそらく可能だ。しかし、野球が200年先まで続いていくためにはどうすべきか、悩んでいる」と長期的な視点からの懸念を示した。
健康面からの指摘
体のケアに詳しい木田氏は、地方大会のサポート経験から「年々、熱中症対応が増えている」と説明。「選手よりも観客や応援する子どもたちの危険が増していると肌で感じる。試合後半になるほど足がつる例が増える」と指摘した。
論点の明確化を求める声
スポーツ法学に詳しい川井教授は、「今回の難しい点は、野球の本質に加え大会事業も関わっているため、誰が決定するのかが不透明だ。最終的には学校が責任を持って結論を出すことが望ましい」と述べた。
スポーツ界のハラスメント問題に詳しい谷口氏は、「子どもの声を大事にしようと言うが、子どもに丸投げしている。大人がきちんと説明することを諦めてはいけない」と強調。教員の働き方の観点から、監督らが家族の存在を意識する必要性も指摘した。
別のアプローチの提案
スポーツキャスターとして高校野球の取材経験がある栗山氏は、「何かを考えなければならない時期だが、9回や7回の前にまだできることがあるかもしれない」と述べ、ストライクゾーンの拡大による時間短縮や、ベスト8以上の試合を9イニングにするなどの代替案を提示。試行錯誤を恐れず、子どもたちのために議論を尽くすよう求めた。
また、全国大会だけでなく地方大会の実情も考慮すべきだとし、「社会の進化に野球も並行して追いつかないと。野球だけこうです、という時代ではない」と社会の変化への適応の必要性を訴えた。
今後の予定
意見交換会の様子は後日、日本高野連のホームページに掲載される。6月6日には別の6人による意見交換会が予定されている。



