サッカーW杯2026開幕!新ルールで試合はどう変わる?スローイン秒数制限や交代ルール変更点を解説
サッカーW杯2026開幕!新ルール変更点を解説

サッカーワールドカップ2026開幕!新ルールで試合はどう変わる?

サッカーワールドカップ(W杯)北中米3か国大会が、日本時間6月12日にいよいよ開幕します。史上初めて48チームで行われる巨大イベントですが、今回は試合運営の面でも、これまでの大会から様々な点で変更される部分が多くあります。この大会から適用される新たな競技規則を中心に見てみましょう。

スローインとゴールキックに秒数制限

まず、大きな変更となるのは、スローインとゴールキックに時間制限が設けられることです。プレーを再開する側のチームによって意図的にスローインやゴールキックが遅らされている場合、主審は笛を吹いたうえで、見て分かるように5秒をカウントダウンします。これが終わるまでにインプレーにならないと、スローインの場合は、同じ場所から相手チームにスローインが与えられます。ゴールキックの場合は、その地点に近い方のコーナーからの相手コーナーキック(CK)でプレー再開となります。近年はCKのようなセットプレーの重要性が増しており、ノロノロしていると、いきなり大ピンチを迎えることになります。

選手交代も急ぐ必要性

2番目の変更点は、選手交代時の選手の退出についてです。交代ボードが表示されたならば、退く選手はそれから10秒以内にフィールドを離れなければならず、時間内に出ないと、交代要員はプレーが再開されてから1分が経過した後の最初のプレー停止時までフィールドに入れません。実際に、それが試合を分けたのが、新ルールで5月31日に行われた日本代表の壮行試合、国立競技場でのアイスランド戦です。FW小川航基(NECナイメヘン)が、試合唯一のゴールを決めたのは87分でしたが、この時間、アイスランドの選手はピッチ上に10人しかいませんでした。公式記録を見ると、アイスランドは85分に2人の選手を同時に交代させたことになっていますが、実際には1人しかピッチに入れず、FWソルバルドソンはタッチライン脇に立ったままでした。これは彼と交代するはずだったMFヒリンソンがフィールドの外に出るまで10秒以上かかったため、ポーランド人のコス主審がソルバルドソンが入ることを許さなかったからです。数的優位に立った日本は、そこから1分以上攻勢を続け、最後は右サイドのMF菅原由勢(ブレーメン)のクロスを小川が頭で合わせて、決勝ゴールとしました。森保一監督も、「我々は新ルールについて準備したことで痛手にはならなかったが、相手にチャンスになることがないように、自分たちが適応、対応していかないといけない」と振り返った場面でした。W杯本番を念頭にきっちり事前学習をしていた日本と、W杯本大会には出場しないアイスランドとの真剣度の差が出たともいえます。

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重視されるのは「試合のテンポ」

3つ目の変更点は、選手の負傷に関してです。実際に負傷した、または負傷の疑いでプレーが停止する原因となったフィールドプレーヤー、あるいはフィールド上でメディカルスタッフの診断を受けたフィールドプレーヤーは、プレーが再開されてから1分間はフィールドを離れていなければいけなくなりました。これは、負傷を装っての時間稼ぎを防ぐためだけではなく、プレーを継続させるべきかどうか、メディカルスタッフが見極めるのに必要な時間を確保するためでもあります。日本協会によると、今回の競技規則改正は、「試合のテンポを乱す行為を削減するために、いくつかの措置が講じられることが中心に扱われている」といい、佐藤審判マネジャーは、「試合の価値、サッカー競技のイメージを高めることが改正の目的」と話します。時間稼ぎ防止については、昨年の競技規則改正で、GKに対していわゆる「8秒ルール」が適用されるようになり、これが功を奏したことで、さらなる対策が取られたということでしょう。佐藤審判マネジャーは、「アクチュアル・プレーイングタイム(実際にボールがインプレーの時間)が増え、アディショナルタイム(追加時間)が減るのかな。遅延行為による警告が減るとか、いろんな可能性がある」と、影響を予想します。スローインでも、最近世界中で増えている印象のあるロングスローで、確実にボールを飛ばすために、これまでのように準備しておいたタオルでボールを拭いてから投げるようなことは、やりにくくなるかもしれません。

VARの役割にも変化

このほかの主な変更としては、VAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)に関わるものがあります。これまで一発退場にしか関与できなかったVARが、明らかに間違った2枚目のイエローカードに起因するレッドカードにも関与できるようになるほか、明らかに間違って与えられたCKについても、すぐに見分けがつく場合に限り、介入できます。また、開幕目前の5月31日になって、IFABは新たにVARが介入できる案件について発表を行いました。それによると、CKやFKの場面で、ボールが蹴られる前でも攻撃側による明らかな反則があった場合、VARが主審に対して、オンフィールド・レビュー(ピッチ脇のモニターでの確認)をするように勧め、主審が反則があったと認めたときは懲戒処分が取られ、CKやFKはやり直しとなります。得点やPKなどに直結するプレーが対象です。この運用を今後も続けるかについては、今大会での結果を見て決めるということです。

近年は、特にCKの場面でボールが蹴られる前に、ペナルティーエリア内で攻撃側の選手が守備側の選手の動きを妨害することが多く、問題となっています。先月、今大会を担当するFIFAの技術研究グループによるメディアブリーフィングがあり、その中で元スイス代表GKのパスカル・ツベルビューラー氏は、「W杯では最高の審判たちが適正に対処するだろう」と楽観的に話していましたが、その根拠はこれだったのか、と思わされました。はたしてどれほど実効性があるかは、実際に大会が始まってみないと分かりませんが、しばしばゴール前で見られるプロレスまがいのグラップリング(格闘)に対して、一定の抑止力にはなるかもしれません。

このほか、今大会では、口元をユニホームなどで隠したうえで相手選手や審判と対立する行為は退場となります(レアル・マドリードのブラジル代表FWビニシウスが、口を隠した相手選手に人種差別的な言葉をかけられたとして、相手が出場停止処分を受けたことからビニシウス法といわれます)。また、判定に抗議してピッチを去る選手や、選手に引き揚げるようそそのかしたスタッフも退場処分となります。これは、今年1月のアフリカ選手権決勝で、セネガルが相手のモロッコにPKを与えた判定に抗議していったんフィールドから去った事件を受けての措置です(結局、フィールドに戻ったセネガルは、延長戦の末にモロッコを破ったが、その後、この優勝は無効とされました)。